●自分自身の感情を処理する時間を取る

 チームをサポートし、レジリエンスを示す模範になるには、自分自身が感じているストレスや不安を認め、それを管理することだ。まず、自分が何を感じているかを理解することから始める。

「自分の感情に名前をつける。自分自身とその感情との間に距離を置くことで、自分の価値観と合う方法で行動するにはどのようにすべきか、意識的に判断することができる」と、デイビッドは説明する。世の中で自分にはコントロールできない出来事が起きている時であっても、「自分がどうありたいかを選択することができる」。

 自分自身に問いかけよう。自分にとって最も大切なものは何か。「たとえば、自分の価値観として協調的であることを大切にしているならば、『誰もがチームの一員だと感じるには、自分にどのようなことができるだろうか』と自問するのがよい」

 ●現実に起きていることを認める

 自分の感情を押し殺したり、部下にそれを期待したりするのは逆効果だ。心配や苦悩といった感情は非常にリアルなものであり、「無視したり、否定したり、抑圧したりしてはいけない」と、フェルナンデスは言う。

 平気なふりをしたり、何事もなかったかのように仕事をしたりしていると、上の空になったり、怒りの気持ちを抱いたりするようになる。したがって、部下がいら立っていることや不安定な状況にあることを認めて、問題と率直に向き合うことが欠かせない。

 同時に、思い悩むあまり、負のスパイラルに陥ることは避けなければならない。部下の感情を認めたうえで、「チームとして、どのように行動すべきかという話に移ることだ」と、デイビッドは言う。

 そのためには、「このような時は互いにどう接するのがよいか」と、チームに問うことだ。そうすることで、たとえばメンバーの間に「互いに敬意を持ち、優しさを忘れないようにしながら、顧客に高品質の製品を提供し続けたい」という合意が形成されるかもしれない。

「チームで共有している目的意識を再確認し、それを再び浸透させることで、地に足のついた状態を保つことができる」と、デイビッドは述べている。

 ●セルフコンパッションを促す

 チームメンバーの中には、周囲を見渡して「自分は寝不足なのに、他の人たちはどうして元気なのか」と不思議に思っている人がいるかもしれない。そこで、ストレスは正常な生理的反応であり、コントロール感を失ったり脅威を感じたりした時に生じるものだと声をかけ、自分に思いやりを持つよう勧めよう。

 脳と身体が過剰に働いてしまうことで、「状況の変化によって、行為主体性が失われる場合があると部下に認識させること」が重要だと、デイビッドは言う。あなたがストレスを感じている場合はそのことを伝え、そうでない場合には自分が以前不安を感じた時の状況を話し、ストレスを感じるのは彼らだけではないことを理解してもらうのだ。