●いま、必要なものは何か尋ねる

 部下と1対1で話をして、どのような状況にいるかを聞き出す。「相手の立場に立つことでパースペクティブテイキング(視点取得)」を行うことを、フェルナンデスは勧める。「自分の考えや気持ちとは違っても、相手の考えや気持ちを本当に理解しようとする」ことが大切だ。この共感が信頼の基盤となり、問題解決モードに移行できるようになる。

 そして、誰もが同じものを必要としていると思い込まないことだ。フェルナンデスは、次のような言い方を提案している。「多くの人が大変な思いをしています。いま、何が一番の助けになるでしょうか。一緒に考えましょう。あなたがこの困難を乗り越えて、最高の状態でいられるように手助けしたいのです」

 彼らはもしかしたら、注意散漫を防ぐ方法や、業務の優先順位の見直しに関する助言を必要としているかもしれない。また、部下が仕事のスケジュールをより柔軟に設定できるようにし、「完遂すべき業務と、重要なセルフケアの実施や仕事以外の生活とのバランスを取るように促す」ことが欠かせないと、フェルナンデスは述べている。

 ●セルフケアの模範を示す

 睡眠、運動、栄養のある食事は、レジリエンスを高めると証明されている。したがって、チームメンバーに自分自身をケアするよう勧めてほしいと、デイビッドは言う。

 たとえば、部下の誰かが「いつもベッドに携帯電話を持っていき、ニュースを読んでいる」と言った時は、自分は携帯電話を別の部屋に置くようにしていると伝えてみる。「日中、どうしても気になってツイッターを見てしまう」と言われたら、次の出社時に散歩に誘ってみる(それぞれが近所を散歩しながら、電話で話すというバーチャルな方法も可能だ)。

 もちろん、マネジャーはそのような行動を指示する立場にはないが、自分にとってうまくいったことを共有するのは問題ないだろう。

 また、マインドフルネス呼吸法も、不安を鎮め、集中力を高めるのに役立つと、フェルナンデスは言う。部下に対して、息を吸ったり吐いたりするように言うのは気が引けるかもしれないが、その効果に関する研究結果を共有するのであれば、抵抗はないだろう。

 ●覚えておくべき原則

【やるべきこと】
・ストレスを当然のものとして認める。ストレスは不確実性に対する一般的な生理的反応である。
・共通の目的を再確認し、チームが地に足をつけて仕事をできるようにする。
・たとえ小さなことでも、セルフケアを行うことで、レジリエンスを高めるよう部下を後押しする。

【やってはいけないこと】
・自分自身の不安や心配を放置する。
・部下の感情を無視する。
・チームの全員が同じ種類やレベルのサポートを必要としていると思い込む。

HBR編注:本稿は、2017年3月に掲載されたHow to Keep Your Team Focused and Productive During Uncertain Timesを一部抜粋・翻案したものである。


"How to Be a Supportive Manager When Times Are Tough," HBR.org, March 31, 2022.