●依存関係について学ぶ
あなたから何か得る必要がある人は誰か。あなたがそれを提供するために、誰に頼るべきか。これらを見極めるために、依存関係と部署横断的なワークフローを理解しなければならない。
あなたは仕事の成果を誰に提供するのか、他部署のステークホルダーはそれをどのように使うのか。あなたのチームとやり取りする部署で、特に重要なステークホルダーを10人挙げるとすれば誰かを、マネジャーに尋ねよう。
そのうえで、彼らが部署間のワークフローをどうとらえ、自分たちが成功するために、あなたにどのような役割を果たすことを求めているかを理解する。ワークフローのタイミングを理解すれば、必要な期限を守り、仕事を通じて最大の価値を提供できるだろう。
●焦らず、じっくりと取り組む
新しい仕事に就いて、すぐに周囲とのつながりを感じることができればよいが、なかなかそうはいかない。どのような会社でも、オンボーディングは難しいものだが、それがリモートならば、なおさらだ。自分自身にキューブラー=ロスの変化曲線をたどる猶予を与えよう。
最初は気分が高揚しているが、どこかの時点で、これまでの仕事との違いや難しさに衝撃を受け、続いて「そこまでは違わない」と否認し、それがフラストレーションに変わる。どん底まで気分が落ち込み、鬱に似た状態になるかもしれない。やがて、新しい仕事で満足感を得ようとさまざまな試みを始め、打ち込むようになるという変化をたどる。
最終的には、新しい会社に溶け込み、居心地よく感じるようになるだろう。そこに至るまでの時間は人それぞれだが、誰もがこの曲線を経験する。そのため、辛抱強く、時に深呼吸をしながら、自分にメンターがいない場合は、つながりを持てる相手を1人見つけよう。
変化は、誰にとっても簡単ではないと知ることだ。変化を受け入れ、それは自分が成長するまでの過程だと認識することが大切である。
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本稿で紹介したステップをすべて実践する最善の方法は、自分が話すのではなく他人の声に耳を傾けること、そして思ったことは質問の形で表現することだ。
たとえば、会議で自分に素晴らしいアイデアがある時、「私はこうすべきだと思います」と言うこともできる。その場にいる人々の反応は、(1)以前試したが失敗に終わったので、あなたを論破する、(2)会社の事業をわかっていない新参者が言うことなので取り合わない、(3)面白いアイデアだと思うが、新参者が言うことなのでやはり取り合わない、このうちのいずれかだろう。
自分の意見を主張する代わりに、たとえば「ちょっと興味があるのですが、これを試してみたことはありますか」というように、質問形式であなたの意見を表現してみよう。
実際には、過去に失敗した経験があり、その意見が間違いだったとしても、あなたは過去の経緯を学ぶことができ、周囲からは「学ぶ意欲がある人物」だと見なされる。一度も試したことがなく、もしうまくいけば、あなたはその好奇心のおかげでヒーローになることができるだろう。
"Starting a New Job as a Mid-Career Professional," HBR.org, April 15, 2022.