「新しい自分」を目指す
顧客を支援する
フィットネスクラブに通う人の最終目的は、器具やトレーナーを利用することではなく、体調を整えることにある。医者にかかったり病院に行ったりする最大の理由は、薬の処方や診察や治療のためではなく、健康になることである。大学に行く主な動機は、本を大量に買うことでも、教授に論文や試験を採点してもらうことでも、教室や大学生活全般を経験することですらない。技術や専門知識を身につけて、キャリアを積むことである。
ところが、フィットネスセンター、医療機関、大学、多様な業種の組織は往々にして販売対象の品質、利便性、体験のみで差別化を図ろうとする。それらが重要でないとは言わないが、人々が求めている目的の手段にすぎない。この真実を見失っている組織があまりにも多い。
顧客の強い願望に関わる製品やサービスを販売していても、顧客がそれを実現できるようソリューションを考案することは稀である。そうではなく、その人が目標を達成するのに必要なことを組み合わせなくてはならない。たとえば、体重を落とすために、トレーナーを雇い、食事制限を行い、サポートネットワークを用いる、というように。