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リモートワークの浸透により、表情やボディーランゲージといった身体的な手掛かりを頼りにした感情や意思の読み取りが難しくなった。こうした課題を乗り越える手法として、バーチャルな職場での絵文字の活用頻度が高まっているという。絵文字は便利な一方、伝える相手の世代や文化によっては、意図しない意味が伝わってしまうリスクがある。本稿ではリーダーやマネジャーが、絵文字を効果的に使用するために、絵文字が持つ特性と、リスクを排除する方法を解説する。

 

 リーダーはしばしば、感情や意思を読み取ったり伝えたりするために、表情やボディーランゲージといった身体的な手掛かりを頼りにしてきた。しかしリモートの職場では、なかなかそれができない。表情や身体的なジェスチャーを読むことも伝えることも難しいからだ。

 デジタル時代の効果的なリーダーシップについて、筆者らが進めている研究の一環として行った取材や事例によると、バーチャルな職場では、身体的な手掛かりの代わりに絵文字を使う頻度が高まっている。絵文字は、デジタルコミュニケーションの背後にある意味だけでなく、表出された感情の種類や強さを明確にするのに役立つ。

 ただし、これは世代間および文化間の地雷原にもなり得る。たとえばZ世代は、同僚がスマイリーフェイスの絵文字を使うと気を悪くすると言われている。見下されたような気がするというのである。また文化的、地理的な違いにより、ある人にとっては親しみのあるジェスチャーが、他の人にとっては感情を害するものになる可能性もある。

 リモートまたはハイブリッドな職場でチームを率いるために、マネジャーはこうした思わぬ落とし穴を察知し、効果的に絵文字を活用する方法を理解する必要がある。

絵文字を活用してチームとつながる

 職場での絵文字活用に関する最近の研究や、チームマネジメントのために絵文字を使っていると自認するリーダーたちへのインタビュー、そして効果的なリーダーシップに関する独自の研究に基づき、筆者らは絵文字の活用方法を4つ特定した。ハイブリッドまたはリモート環境で従業員とつながり、リーダーシップを強化することに役立つだろう。

 (1)チームがどう感じているか、より深い洞察を得る

 金融サービスを提供するデンマークのダンスケ銀行の従業員は、リモートの経営会議に参加するためにログインをする際、絵文字を共有している。「私たちのバーチャル会議は、その日の気分を伝えることから始まります。どのような気分なのかを表す絵文字のついた名前入りスタンプをまず投稿するのです」と、同銀行プロダクトオーナーのエドアルド・モラレスは説明する。

 これらの会議には通常40人以上が参加するが、絵文字を共有することで、互いの気分やグループ内の雰囲気を一目で感じ取れるようになる。「時間を節約できるうえに、交流が豊かになります」とモラレスは語る。「絵文字は、『元気です』という決まり文句の域を越え、より広範な感情を映し出し、表現することを可能にしてくれます」

 絵文字を選ぶという簡単なタスクは、各々に自分を省みる機会も与える。これは、パフォーマンスに好ましい影響を与えると考えられている。また、自己認識力の高い人は、自分の感情を表現する能力も高まり、結果としてみずからの気持ちを表す的確な絵文字を選択できるようになる。

 (2)リーダー自身の認知的共感を高める

 従業員たちのやる気が何によって高まり、仕事に対してどう感じているかを理解するうえで、従業員の感情はあなたの理解を助けるデータポイントとなる。

「全員がリモートの場合、チームが何に取り組んでいて、仕事についてどう感じているかをリーダーはどう把握すればよいのだろうか」と、ソフトウエアのスタートアップ企業、Friday.appの創業者ルーク・トーマスは考えた。

 そこで、毎週の近況確認の一環として絵文字を使うことにした。この1週間どんな調子だったかを示す絵文字を部下に選んでもらう形で報告を受けた後、「今週は何がうまくいったか」「今週もっとも悪かった点は何か」「何か手助けできることはあるか」といった自由回答形式の質問を投げかけている。

 このような近況報告のおかげで1対1の話し合いが豊かになり、従業員のニーズに応える行動を起こすことができると、トーマスは説明する。「近況の報告や確認に割く時間を短縮し、よりよい関係の構築や妨害者の排除、そしてコーチングにかける時間を増やしています」