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パンデミック、ESG(環境、社会、ガバナンス)、人種間の不平等に対する継続的な取り組みなど、現代の課題は、企業と社会をますます密接に結びつけている。これに伴い、企業のCEOに求められる職務、リーダーシップを発揮する手段も変化している。新しい職務を遂行するためには、これまでとは異なるタイプのCEOにならなければならない。すなわち、顧客やサプライヤー、パートナー、競合相手、政府、地域社会など、自分たちがビジネスを展開するエコシステム全体をマネジメントするリーダーである。本稿では、CEOとして新たな職務、リーダーシップを発揮するため、筆者らの調査で判明した5つのステップを提示する。

 

 CEOは取締役会を満足させ、株主を喜ばせて、大きな風評被害を回避できれば有能だと考えられていた。さほど昔の話ではなかったが、もうそれでは通用しない。

 今日のCEOの職務内容は、いわばクラウドソーシングされており、従業員、顧客、サプライヤー、政府、活動家など、社会のほぼすべてのセグメントが層がそれぞれ期待や要求を書き込んでいる。

 パンデミック、ESG(環境、社会、ガバナンス)、人種間の不平等に対する継続的な取り組みなど、現代の課題は、企業と社会をますます密接に結びつけている。CEOと取締役の86%はビジネスと社会の関係がさらに深まると考えており、アメリカ人の3分の2は、CEOが社会問題に対する立場を明確にすることを望んでいる。

 こうした変化の意味をより理解するために、筆者らが所属するコーン・フェリー社では、北米企業11業種311社の取締役105人(その多くはCEOでもある)に話を聞いた。

 その結果、CEOの職務内容の変化に伴い、リーダーシップを成功させるためのプレイブックも変化していることがわかった。ステークホルダーの範囲はより大きく広がり、複雑になって、ミスやエラーが発生する可能性も高くなっている。かつては対象外だったものが対象となり、誰を、そして何を優先させるかという難しい決断を迫られている。そして、成功するために必要なスキルは、従来の指揮命令型の戦術にとどまらず、正式な権限がなくても影響力を発揮するようなものにまで広がっている。

 新しい職務を遂行するためには、これまでとは異なるタイプのCEOにならなければならない。すなわち、顧客やサプライヤー、パートナー、競合相手、政府、地域社会など、自分たちがビジネスを展開するエコシステム全体をもマネジメントする企業リーダーだ。このような役割をすべて引き受けているCEOは数えるほどだが、筆者らの調査から、次の5つのステップを踏むことが重要であるとわかった。

 1.プレーヤーを知る

 これからのCEOは、これまでの世代とは違い、飽くなき学習意欲を率先して示さなければならない。

 グレートバリアリーフの生態学者が鳥と珊瑚、魚、軟体動物の相互関係やそれぞれの環境を調べるように、CEOは自分のエコシステムをマッピングする必要がある。グレートバリアリーフの生命体は競争しながら相互に依存している。同じことが、CEOとCEOが活動する広範なエコシステムにも当てはまる。そこで、次のような理解を深めなければならない。

・エコシステムの各メンバーの強み、脆弱性、相対的な貢献度。
・相互依存を生んでいるつながり。
・外部からの影響により、エコシステムの機能はどのように損なわれる可能性があるか。
・エコシステムのメンバーが環境の変化にどこまで適応できるか。
・競争しながらも相互に利益を得る機会がどこにあるか。(これがおそらく最も重要になる)

 エコシステムを導いて舵取りをするという、より拡大した役割に取り組むCEOは、さまざまなステークホルダーを束ねると同時に、各プレーヤーにとってもエコシステム全体にとっても有益な方針を設定しなければならない。共通の利益や共通の問題も、その方針につながるだろう。さらに、エコシステムの共通のパーパスとして、より大きな利益に貢献しながらビジネスの目標を推進する、というミッション主導型のパートナーシップを目指す企業がますます増えている。

 たとえば「Valuable 500」は、500人のCEOが障害者インクルージョンの革新に取り組んでいる。「One Ten」に集うCEOは、今後10年間で4年制大学を卒業していない黒人100万人に、家族を養えるようなキャリアを歩ませるという共通の目標を掲げている。