その世代論は本物か

 このように書くと、若い世代はタイパ志向で、味のある映画のワンシーンや名曲のイントロを飛ばす、心ない人々のように感じてしまうかもしれません。

 しかしながら、そう一くくりにすることは早計です。よくよく考えれば、40代、50代でも映像や音楽を早送りする人は多くいます。『LOVE PHANTOM』も発表当時から「イントロが長い曲」と知られてきました。

 時間を無駄にしたくないのは、どの世代も同じはずです。スマホ動画の視聴習慣があるかどうかで、そうした差が際立っているだけなのかもしれません。

 問題は、各世代のステレオタイプを私たちが素直に受け入れてしまうことです。「あの世代は○○だ」と決め付けることは簡単で、思考や判断を楽にしてくれます。

 しかしながら、そのまま放っておくと、偏見に満ちた世代論が対立を招き、チームの業績の低迷につながるのです。

 今号の特集は「チームを成長させる『世代』の力です」。いま米国では史上初めて、5世代が一つの職場におり、その緊張感が高まっているといいます。

 リーダーは、世代間の対立を助長する世代論を鵜呑みにしてはなりません。偏見のメカニズムを十分に理解し、年齢差別に立ち向かっていくことが求められています。それが多世代のチームの力を引き出すのです。

 今号では、その方法論を明らかにします。この機会にぜひご一読ください。

(編集長・小島健志)