Paul Taylor/Getty Images

企業のESG(環境、社会、ガバナンス)パフォーマンスに対する要請は、ますます高まっている。しかし、ESGの場合にはこれまでと異なり、ほかの業界の企業とも競い合わなければならず、また対象領域があまりにも広大であるために、そもそもどの領域で競争すればいいのか途方に暮れる経営者も少なくない。この新たな競争環境で高いパフォーマンスを実現するには「グリーン・オーシャン戦略」が欠かせないと、筆者らは提唱する。これは「ブルー・オーシャン戦略」さながらに、ライバル企業との競争がなく、自社が抜きん出た成果を上げられる領域を見出そうとするものだ。本稿では、グリーン・オーシャン戦略で成功を収めるための3つのステップを論じる。

 

グリーン・オーシャン戦略の3ステップ

 企業がESG(環境、社会、ガバナンス)パフォーマンスを競う領域は、極めて広大だ。そのため、どの企業もそのすべての領域で傑出することは不可能に等しい。

 たとえば、ある金融機関がESG意識の高い顧客を獲得すべく、ほかの金融機関と競い合っているとする。この金融機関は、ほかのあらゆる業種の企業と、ESG意識の高い人材の争奪戦も繰り広げてもいる。また同時に、多くの投資家は、ESGパフォーマンスを基準に投資先企業を決めている。

 このような事態は多くの経営者にとって、経験したことのないタイプの競争だ。ほかの業種の企業とも競争しなくてはならないからである。そのような状況で途方に暮れたり、自分には対処できないと感じたりするのも不思議ではない。

 しかし、この種の課題への対応策を見出している経営者もいる。ライバル企業が存在せず、自社が成功を手にできる領域を見出しているのだ。筆者らは、そのような領域を「グリーン・オーシャン」と呼んでいる。

 筆者らはこれまで、ESGと企業の成果の関連について研究を重ねてきた。ここで提唱する「グリーン・オーシャン戦略」とは、競争のない市場を見出し、需要を創出・獲得することを目指す「ブルー・オーシャン戦略」にヒントを得たものだ。グリーン・オーシャン戦略とはつまり、競争がなく、自社がESGで抜きん出た成果を上げられる領域を見出そうとする戦略を指す。

 筆者らの研究によれば、グリーン・オーシャン戦略で成功を収めるには、「探索」「精査」「実行」の3つのステップをたどればよいことが明らかになっている。