ステップ2:精査

 第2のステップは、自社のコアケイパビリティとリソースを精査することだ。具体的には、自社がリソースを持っていて、強力なパフォーマンスを発揮でき、しかもESGが自社の事業全般に欠かせない要素である領域を見つける。その領域こそが、あなたの会社のグリーン・オーシャンだ。

 前述したレディーの例に戻ろう。同社にとって、エネルギー使用量は自社の事業運営に欠かせない要素だ。決裁の実行、管理、データの保管を行うために、莫大な量のエネルギーを必要とする。したがって、同社が責任を持ってエネルギーを調達し、温室効果ガス排出量を抑制できるのであれば、環境領域で自社の相乗的なパフォーマンスをアピールする好機になる。

 一方、レディーがニューギニアの先住民に対する食料支援で大きな貢献をしているとしても、それ自体は立派な志ではあるが、自社の事業運営とのつながりは明確でない。たとえ、この領域でライバルのブロックが取り組みを行っていないとしても、レディーのグリーン・オーシャンとは見なせない。

 自社にとってのグリーン・オーシャンを見つける上では、ライバル企業が高いパフォーマンスを発揮していない領域を探すことが重要だ。

 レディーでは、自社のプログラマー(事業運営の中核を成す存在と言ってよいだろう)の15%が、ヒスパニック系もしくはラテン系であることに気づいた。米国の人口全体に占める両者の割合は、約7%である。

 しかし、レディーが従業員のダイバーシティに関して平均を上回るパフォーマンスを発揮していても、ブロックのプログラマーの20%をヒスパニック系とラテン系が占めているのであれば、レディーのグリーン・オーシャンとはいえない。この領域でパフォーマンスが高く、自社の中核事業との結びつきが強いとしても、強力なパフォーマンスを発揮しているライバル企業と直接競わなくてはならないからだ。

 つまり、自社がある領域で傑出しており、その領域が自社の中核事業と結びついていたとしても、ライバル企業が同じ領域で傑出していれば、それは自社のグリーン・オーシャンではないということを覚えておかなくてはならない。