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出社とリモート勤務を組み合わせたハイブリッド型の職場が増えている。このような状況で、多くの人は職場での人間関係の構築が以前よりも困難なことだと考えるかもしれない。しかし筆者は、小さな4つのステップを踏むことで、ハイブリッド型の職場でも人間関係を構築することが難しくなくなると説く。沈黙を破ることから始まるコミュニケーションの取り方について、具体的なシーンを事例に解説する。

リモートと出社のハイブリッドでも職場の人間関係構築は難しくない

 オフィスに入りづらいと感じることはないだろうか。特に、リモート勤務が続いた後や、中で働いている人より空いている席のほうが目につく時に。この感覚は学校の登校初日に似ていると感じる。しかし、毎日続いている。どこに座ろう、何とあいさつしよう、どうしたら友人ができるだろう。

 内向的な人や入社したての人であれば、職場の同僚と関係を築くことにさらに気後れするだろう。自分以外のみんなが互いのことを知り尽くしているならなおさらだ。しかし、筆者が自著The Unspoken Rules(未訳)のために、さまざまな業界や職種で働く500人を対象に行ったインタビュー調査からわかったことは、ハイブリッド環境で人間関係を構築することは、見かけよりも簡単だということだ。

 ハードルが高すぎて助けにならない「自分をさらけ出せ」というアドバイスを、誰もが踏めるほど小さなステップに分解することからすべては始まる。

 ステップ1:沈黙を破る

 このステップは、考えすぎてしまうため、最も難しいステップだ。頭の中の声が「相手のじゃまをしていないだろうか」と囁き、また別の声が「この人は私のことをどう思うだろう」と心配し、「そもそも何と言おうか」と3番目の声が畳みかける。そのうちに疑念が湧き、タイミングを逃してしまうのだ。

 沈黙の中で口を開くことが簡単であれば、その分、そうする可能性は高くなる。幸い、知らない人を知り合いに変えるチャンスは、周りを見回せばいつでも転がっている。

・自分で席を選べる「ホテリング」や「ホットデスク形式」のオフィスで働いている場合:なるべく入り口、会議室、キッチン、トイレなど、人通りの多い場所の近くを陣取ること。すると、いろいろな人と出くわしたり、目が合ったり、会釈したり、笑いかけたり、「お疲れ様」「おはようございます」と声をかけたりしやすくなる。そのようなことから関係構築は始まる。

・ミーティングやタウンホール、ハッピーアワー、イベントに招かれた場合:少し早めに行き、取り込み中ではなさそうな初対面の人のそばに立つか座るかして、アイコンタクトを取り、手を差し伸べてこう話しかけよう。「こんにちは、初めてお目にかかります。〇〇と申します。よろしくお願いします」

・会議が終わった時:急いで帰りたい気持ちを抑え、誰かに近づいて、「〇〇と申します」と声をかけ、「~についてのコメントが素晴らしかったですね」などと続けよう。

・外出や出張の予定がある場合:「一緒に乗っていきませんか」と周囲に尋ね、ともに移動をする間に会話を弾ませよう。

・次の出社までに時間がある場合:バーチャルでしか会ったことのない同僚にメッセージを送ろう。「明日出勤しますので、出社されていたらごあいさつに伺います」

 上記は、内向的な人や人見知りだけの戦略ではない。最も効果的に人間関係を築く秘訣なのだ。次の会議では、始まる前に周囲を見渡してみるといい。その時間、ある人は携帯に没頭し、ある人は人間関係を築いていることに気づくはずだ。