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仮想空間でのコミュニケーションを可能にするメタバースは、物理的な空間の置き換えとして機能するのではなく、相互補完的な関係であると筆者は主張する。企業にとっては主要都市における物理的なオフィスの重要性が、消費者にとっては物理的な店舗などでの体験が、重要性を高めていくと解説する。グーグルやメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)が、都市部の拠点を拡充していることなどをその根拠としている。

メタバースにより物理的な拠点の重要性は高まる

 新型コロナウイルス感染症と、ズームなどリモートワークのテクノロジーが相まって、経済活動における都市の役割は低下しているという。ならば、いま勢いのあるメタバースのようなテクノロジーはどのような影響を及ぼしうるのだろうか。

 最終的に都市の役割を消し去って人口密度を下げる、大々的な変動要因となるのか。エアビーアンドビーのブライアン・チェスキーCEOの言葉を借りれば、「みんなが集まる一番ホットな場所は、かつてはシリコンバレーだった。いま、その場所はインターネットだと思う」。これは正しいのだろうか。