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ストレスは個人のみならず
企業の業績を悪化させる
1983年に『タイム』誌は、ストレスを「80年代の疫病」と評したが、今日ではストレスは当時にも増して蔓延している。事実、ストレスは増加の一途にある。
オンライン求人サイトのキャリアビルダーの調査によれば、労働者が感じているストレスを総合すると、2001年8月から2002年5月までに10%の増加を記録している。
しかもストレスは、企業の収支をも直撃している。99年、HERO(健康増進研究機関[注1])が4万6000人を対象にした調査結果を発表したが、それによると、ストレスを抱えている人とうつ病の人のヘルスケア・コストは、それ以外の健康状態とは関係なく、147%割高になるという結果が出ている。
この研究は、シェブロン、ホフマン・ラ・ロシュ、ヘルストラスト、マリオットの社員に加えて、ミシガン州とテネシー州の職員を対象にしたものだが、ストレスとうつ病によって生じるヘルスケア・コストが糖尿病と心臓病を原因とするコストを上回ることも明らかにしている。もっとも、糖尿病と心臓病のどちらもストレス関連病なのだが──。
ところで、ストレスとは正確には何のことを言うのだろうか。一般には、2つの同時に起こる出来事、つまり「ストレッサー」と呼ばれる外部からの刺激と、この刺激への感情的かつ物理的反応、たとえば恐れや不安、心拍数や血圧の上昇、頻呼吸、筋肉の緊張などのことを意味する。ただし、健全なストレッサーは、気持ちを奮い立たせて、成功を助ける効果もある。
とはいえ、一般にストレスと言う場合、間近に迫った業績リポートや、そっけない同僚、ラッシュアワーの通勤など、否定的、威嚇的、あるいは不安な状況に直面した際、体内に起こる反応を指している。
否定的なストレスが長期にわたって蓄積していくと、気分が落ち込んだり、燃え尽きてしまったり、病気になったり、挙げ句の果てには死に至る場合もある。この背後には、我々ハートマスの研究からもわかるとおり、否定的なストレスは精神上の習慣であると共に、生理的な習慣であるという理由がある。
もちろん多くの企業が、ストレスがもたらすマイナス影響を理解しており、社員がストレスに対抗できるように最大限の支援を提供している。たとえば、職場でヨガのクラスを提供する企業もあれば、ストレス・マネジメントのセミナーを開いている企業もある。また、社員が毎年1回の長期休暇を取得することを義務づけているところもある。