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有色人種の女性は職場で排除され始めると、みずから負のスパイラルに陥り、孤立してしまうことが少なくない。本稿では、職場で偏見や差別に晒されている有色人種の女性こそ、自身のメンタルヘルスに配慮することが重要であると説く。4つの戦略に則ってメンタルヘルスを保つことで、状況に対して適切な対処が可能になるという。

排除行為を受け、みずから孤立する

 初めて職場で深刻ないじめに遭遇した時、私は大したことではないと自分に言い聞かせていた。一族で初めて4年制大学を卒業した女性として、どのようなことも乗り越えられると思っていたからだ。

 だが、体は正直だった。職場のあるフロアでエレベーターの扉が開く瞬間、心臓の鼓動が速くなった。昔から早起きのタイプだったのに、朝ベッドから出られなくなり、外向的な性格だったにもかかわらず、友人と会いたいと思えなくなった。いつも疲れ切っていて、どこにも出かける気になれなかったのだ。

 そのような時、思いがけず暗い考えが脳裏に浮かび、頭から離れなくなった。「どうせ、ここでは誰も私を見ていない……」

 そこで私は、同僚とのやり取りを頭の中で再生するようになった。最初のうちは、自分の名前の発音を間違えられる、英語をほめられるといった些細な排除行為(マイクロアグレッションとも呼ばれる)や、部署内で唯一の有色人種女性であるという事実にどう対処したらよいのか分からず、恥ずかしさを感じていた。

 そのうち、自己嫌悪と不安に苛まれるようになった。あるシニアリーダーから、何の根拠も具体例もないまま「一緒に仕事がしにくい」と苦言を呈され、解雇の危機に陥ったためだ。

 頼れる有色人種女性が一人もいない状況で、当時の私はまるで別の現実世界に生きているような気分だった。いまでこそ、あの経験は「レイシャル・ガスライティング」(自身の人種的体験に疑念を持つよう仕向ける心理操作の一種)と呼ばれるものだと分かる。だが、当時の私は文字通り日々、自問自答を繰り返していた。

 やがて、その重荷に耐えられなくなった私は生気を失い、シニカルで辛口になっていった。目の前では、白人の同僚──仕事ができなくても昇進する白人の男女や、魅力的な白人女性しか採用しない男性リーダーたち──が、私とは異なるルールで生きていた。会議や親睦の場からも、内輪のジョークからも締め出され、見た目が自分と似ている人に出会うこともなかった。

 いじめに加え、日常的な排除行為があり、私は大きなダメージを負い、結局、仕事を辞めた。家族や友人からは、高報酬で働ける機会を捨てるなんて、と反対されたが、精神的に限界だった。