准結婚・家族療法資格(LMFTA)を持ち、黒人女性向けに心理療法を提供するドリーム・ライフ・アウト・ラウドの創設者でもあるダニエル・ジェンキンス・ヘンリーは語る。「職場差別の被害者が、自分に問題があったと考えるのはよくある話です。そのような概念化は、罪悪感や恥、深刻な不安、パニック、心配といった形で表れます。そして、自分の役割を効果的に果たすことができなくなります」
「この種の懸念を伝えたり、詮索から逃れようとする際に戸惑いや恥ずかしさを感じ、みずから孤立してしまうのです」
私の場合、いじめを受けた後、同僚とのあらゆるやり取りにストレスと不安を感じるという形で認知の歪みが表れたが、これはよくあるパターンだ。ジェンキンス・ヘンリーによればこれは「サイクルが生まれて、そこから抜け出せなくなる」状態である。
私は著書Inclusion on Purpose(未訳)を執筆するために、何百人もの有色人種女性にインタビューを行い、自分の体験が特別ではないと気づいた。また、有色人種のメンタルヘルス提供者の不足をはじめとする多種多様な要因によって、有色人種女性が必要なメンタルヘルスのサポートを得られていない状況も明らかになった。
有色人種女性の一人ひとりが、制度的偏見を自分のせいだと感じ始めている。これは危機的な状況だ。
「何の支えも安全もない。誰を信じればよいのかわからず、恥ずかしさと戸惑いを覚えてしまう。なぜこのような事態に陥ってしまったのでしょうか。どう言えば、何をすればよかったのでしょうか。それとも、さらに頑張ればよいのでしょうか。有能な人間だと認めてもらえるように自分が変わるべきでしょうか。これはまさに虐待の連鎖です」と、ジェンキンス・ヘンリーは指摘する。
彼女は、黒人女性が必要なメンタルヘルスサポートを受けられるよう、心理療法を提供する組織を設立した。きっかけは個人的なことだった。前職のマーケティング部門でひどい職場差別に直面し、メンタルヘルスの問題に苦しんだのだ。
「5年間、立派な業績を上げた後、新たな職務に就きました。当時の私はパワフルだと感じていました」と、彼女は振り返る。ところがその直後、新チームの白人女性がジェンキンス・ヘンリーを公然と辱め、嘲笑するようになった。マネジャーに相談しても、その白人女性は過去にも人種差別的な発言をしたことがあるが「気にするな。やっかいな人だから」と言われてしまった。
担当プロジェクトに関連する会議やメール連絡から、意図的に排除されるようになると、マネジャーは別のアプローチを取るようジェンキンス・ヘンリーに提案した。だが、それもうまくいかなかった。マネジャーは白人女性に働きかける代わりに、ジェンキンス・ヘンリーの担当プロジェクトを経験の浅い白人男性に任せることにした。その判断をチームに伝えるメールには、ジェンキンス・ヘンリーがプロジェクトにとって「効果的」ではなかったと記した。
「打ちのめされた気分だった」とジェンキンス・ヘンリーは語る。
組織内のシニアリーダーからさらにひどい人種差別を受けたジェンキンス・ヘンリーは、HR部門に苦情を申し立て、調査が開始された。しかし、黒人の女性調査員は「(ジェンキンス・ヘンリーを)笑い、この件が進展することはないと言った」
この会社を去るべきだと彼女が気づいたのは、この時だった。「私には、サポートとはどのようなものかさえ見当もつきませんでした。サポートを必要としたことも、不安を経験したこともなかったからです。会社を辞めた時、癒やしが必要だと気づきました。それまで見たことも、考えたこともなかった自身の一部を癒す必要があったのです」
そこで彼女は、セラピストの資格を得るために学位を取得することにした。「いまの私は、職場で苦しんでいる女性たちをサポートできます。彼女たちはサポートを求めて奮闘し、世代ごとに存在するパターンから抜け出せることさえ知らないまま、そのパターンを壊そうと頑張っています」
職場で偏見や差別にさらされている有色人種女性は、何よりもまず自身のメンタルヘルスに気を配るべきだ。その方法を以下に紹介しよう。