
組織内のパワーダイナミクスを把握することは、
新しい環境では「隠れた組織図」を把握せよ
組織の中で最終的に成功できるかどうかは、他人とともに、時には他人を通して仕事を遂行する能力にかかっている。しかし、新しい職に就いた時、真のパワープレーヤーは誰か、またどうすれば彼らに接近できるかを探り出すのは容易ではない。
影響力のあるリーダーは、会社のウェブサイトで紹介されるような目立つ存在とは限らないが、間違いなくあなたの長期的成功のカギを握っている。研究によると、新しい職や会社に移ったばかりの時は、ヒエラルキーに関係なく実際に仕事を成し遂げているネットワーク、すなわち「隠れた組織図」を把握することが肝心であるという。
以下に挙げる5つの戦略を通して状況を把握すれば、組織に入ってすぐに、成すべきことを成し遂げられるうえ、社内のパワーダイナミクスの中で、自分の居場所を見つけることもできるだろう。
さまざまなタイプのパワーを理解する
誰が組織の中で大きな影響力を持っているかを正確に評価するために、パワーにはさまざまなタイプがあることを理解しよう。1959年に社会心理学者のジョン・フレンチとバートラム・ラーベンは、他者を望ましい方向に変えるために使われる5つのパワーの基盤を定義した。それは強制力(力に依拠)、報酬力(インセンティブに依拠)、正当権力(ヒエラルキーに依拠)、同一視力(所属に依拠)、そして専門力(知識の権威に依拠)である。彼らは数年後に、第6のパワー基盤として、情報力(希少価値のあるデータ源へのアクセスに依拠)を付け加えている。
組織内のパワーを観察すると、さらに多くの要因が各人の影響力の有無に関わっていることが分かるだろう。特にリーダーの評判は、ヒエラルキーにおける立ち位置や特定分野での専門性に関係なくパワーに影響を与え、上がりもすれば下がりもする。
たとえば、あるエグゼクティブの担当部門が、市場の変化のおかげであっても瀕死状態から立ち直れば、とたんに社内外から多くの肯定的なコメントが寄せられ、パワーを持っていると認識されるかもしれない。あるいは、企業の看板商品を担当するリーダーは企業の「顔」と見なされ、業績が上がらない年度でも影響力があると見なされ続けるかもしれない。