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心理的安全性は、従業員エンゲージメントや優れた意思決定、健全なチームダイナミクス、効果的な組織運営の重要な推進力である。近年は、リモートやハイブリッド型の勤務が定着したことで、心理的安全性に関する問題が複雑化している。本稿では、求職者が新たな勤務先を探す際に、その企業が心理的安全性を重視しているか否かを確認する方法を提示する。採用面接における本稿で紹介する5つの質問を通じて、その組織の心理的安全性に対する姿勢が明らかになるという。

求職者はいかに企業の心理的安全性を見極めるか

 トリシア(仮名)は筆者のエグゼクティブコーチングのクライアントで、バイオテクノロジーのグローバル企業で薬事規制戦略を担当する女性だ。先日、部門を横断して行われたズームの会議で、製品開発担当の副社長であるゴードン(仮名)が彼女のアプローチに公然と疑念を呈した。トリシアは、ゴードンが提案の論拠を理解しないまま、この機会に乗じて政治的な力を行使していると感じた。

 ゴードンの言動の理由が何であれ、この状況によってトリシアの心理的安全性は損なわれた。ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授は、心理的安全性を「アイデア、質問、懸念、間違いなどについて発言しても、罰せられたり恥をかかされたりしないという信念」と定義している。