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メタバースは人々の期待に満ちている。メタバースの市場規模は最終的に8兆ドルに達するという試算があるほどだ。さらにメタバースは、従来のインターネットに欠けている要素を満たすことができるかもしれないという。欠けている要素の一つは包摂性である。本稿では、メタバース関連事業の構築を検討する企業リーダーが、いかに包摂性を取り込むか、3つのステップで解説する。

メタバースに包摂性を取り込む方法

 メタバースの前途は有望だ。共有型で双方向型の、没入できる超リアルなこのバーチャル空間が、インターネットに革命をもたらすと人々は期待している。ゴールドマン・サックスの予測によれば、メタバースの市場規模は最終的に8兆ドルに達する可能性があるという。

 特に有望な点の一つとして、メタバースはウェブ2.0における失敗の一部を正す機会を生む。具体的には、ソーシャルメディアのプラットフォームは社会的に疎外された少数派の人々を、オンラインでのヘイト行為から守り保護することができなかったという失敗である。

 インターネットの次なるバージョンを構築するに当たり、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂)を議論から排除するリスクはあまりに大きい。

 この部分で、ある程度の進歩は見られる。2022年5月に世界経済フォーラムは、メタやソニー、マイクロソフト、レゴなどを含む多くのパートナーとともに、「倫理的でインクルーシブなメタバース」の構築に向けた実行可能な戦略を策定し共有する取り組みを発表した。

 インクルーシブなメタバースとはどのようなものになりうるのか、最近の事例が示している。2022年4月、デオドラント製品メーカーのディグリーはディセントラランドと提携し、インクルーシブなバーチャルマラソン大会を主催した。同社は、障害、人種、ジェンダーの専門家らと連携し、参加者のアバターのデザイン要素──車いす、人工器官、ランニング用ブレード(義足)、体のさまざまな形とサイズ、および視覚障害者向けの解説音声など──に関する助言を行った。

 自社のメタバースの取り組みがインクルーシブであることを徹底したい企業は、デザイン業界で「デザインの正義」(design justice)として知られるムーブメントからインスピレーションを得ることができる。

 デザインの正義の実践者は、プロジェクトで問題解決やマーケティングを行う前に、どのコミュニティが影響を受けるのかをまず特定し、それらのコミュニティの意見を中心に据えることから始める。彼らはデザインのプロセスにおいて実際の体験が大事であると考え、デザインの成果が持続可能かつコミュニティによって主導・管理されるよう万全を期し、非搾取的なソリューションを目指す。

 これらの手法をメタバースの取り組みに導入するために、以下の3つのステップから始めることを推奨したい。