歴史を活かした連携で、業界全体を前進させる
デモグラフィック属性の多様性と、思考の多様性を促進するウィーバーの意図的な取り組みは、成功に寄与している。そしていま、彼女はさらに大きなことを考えている。
2020年、ウィーバーは突然ひらめいた。「これまで、この業界に欠けていたと思うのは、米国の蒸留酒業界の中で多様性を促進する方法を、それぞれが別々に考えようとしていたことです」と、彼女は言う。
そこで、アンクルニアレストとジャックダニエルの親会社は、米国のウィスキー業界の多様性を向上させるために、「ニアレスト&ジャック・アドバンスメント・イニシアティブ」を設立し、その第一歩として、テネシー州タラホーマにあるモトロウ・ステート・コミュニティカレッジで「ニアレスト・グリーン蒸留スクール」を開設することから始めた。業界全体に、より多様な人材のパイプラインを構築するのが、その目的だ(ウィーバーは、蒸留酒業界で多様な人材や事業を育成するための他の取り組みも主導している)。
ウィーバーは、2020年のインタビューで次のように語っている。
「この国の歴史の中で、人種の分断が最も激しかった時代に、このような友情と絆が生まれたことは興味深いことです。その2人の名前を一つにして、問題解決に役立てることほど、私の人生の中で、やりがいのあることはありません」
「この数年間に設立された利点は、現在のDEIに関する基準をベースに始めるチャンスがあるということです。いまから10年も経てば、このような会話もずいぶん違ったものになっているでしょう。なぜならいままさに、
ウィーバーは、自身の取り組みの成果の一つとして、意図的な多様性によって、人生経験のまったく異なる人々の間に、家族のような持続的な友情が生まれていることを実感している。
「最近、このような言葉を目にしました。『企業文化とは、ビール樽を買うことではなく、一緒にビールを飲みたくなるような文化をつくることだ』。私たちのチームメンバーは、多少無理をしてでも仲間と飲みに行きます」
「私たちは年1回、サミットを開催していますが、それはまるで大きな親族の集まりのようになります。それは、私たちがそう感じるように仕向けているわけではありません。文字通り、ドアを入ってきただけでそう感じるのです。この組織文化は、ほかの会社にはなく、私たちがこれまで築いてきたものに一つも惑いはありません。特別なものなのです」
"How Diversity of Thought Can Fit into Your DEI Strategy," HBR.org, September 26, 2022.