企業価値を決める6つのバリュードライバー
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サマリー:経営者は企業価値向上のため、十分な情報に基づいて意思決定を行うべきだ。しかし実際は、マーケットが自社をどう評価しているか、定量的なデータを用いて分析を行っているわけではない。根拠の薄い経験則を参考にし... もっと見るているだけだ。本稿では、筆者らが20年分の膨大なデータを分析してわかった、企業価値に大きな影響を与える6つのバリュードライバーを紹介し、それらのデータを活用する重要性を説く。 閉じる

多くの経営者は適切な
企業評価モデルを活用していない

 投資家は、詳細かつ定量的な評価モデルを用いたうえで、投資判断を下す。一方、企業経営者も同様のモデルを用いれば、株主価値の最大化に向けて、十分な情報に基づいた意思決定が可能になる。それにもかかわらず、なぜ彼らはマーケットが自社をどのように評価しているかについて、こうした方法によって理解しようとしないのか。

 企業は自社の評価額を高めようとする時、基本的に株価収益率(PER)の向上を目指す。そこで、経験則に基づいて収益と利益率を向上させようとするが、これは体系的な分析によって得られた法則ではないため、正しい方法とはいえない。

 さらにこのアプローチは、経営陣を不利な状況へ陥れるだけでなく、企業がチャンスをものにしたり、危機を回避したりする能力を奪いかねない。このような望ましくない状況は、自社がどのように評価されているか、業界内外の競合他社と比べて評価がどのように異なるか、あるいは時間の経過とともに評価がどのように変化するか、といったことからも生じる可能性がある。

 適切な評価モデルを活用していない経営者は、何十年も前からの経験をもとに行動しているため、大事なチャンスを逃すだけでなく、マーケットの変化にビジネスモデルを合わせられず、本来避けられるはずだった危機にも見舞われる。そして取締役会は、定量的で重要なサインを見逃すおそれがある。これは、自社の評価額の変化が会社やマーケットの状況によってもたらされているのかを判断したり、経営陣がその変化にどの程度対応しているのかを見極めたりするためのものだ。

6つのバリュードライバー

 EYパルテノンは、さまざまな業界における数多くの企業の四半期データを20年にわたって分析し、市場での価値変化に大きな影響を与える、6つのバリュードライバーを特定した。経営陣はこれらの因子を使って、複数の業界の比較だけでなく、同じ業界や異業種の企業を比較するモデルを作成できる。このモデルは普遍的なもので、リーダーが長期的な市場評価の変化を理解する際にも役に立つ。

 6つのバリュードライバーは、以下の通りだ。

・企業収益の成長に関する加重平均予想
・売上利益率の成長に関する加重平均予想
・株主への現金還元のパターン
・企業の負債資本比率の推移
・企業が属する業界の経済状況
・業界の主要企業が競合する地域における市場の変動性