断るタイミング2:ほかに適任者がいる

 チームが複数の部署出身者から編成され、コラボレーションをベースに仕事が進む時は、本来の職務以外の仕事に飲み込まれやすくなる。

 営業担当者が、カスタマーサービスの電話を取るといった具合だ。プロジェクトマネジャーのアイリーンは、本来、業務部長が監督すべき問題の解決に引きずりこまれた。そこで上司に、現実的な妥協点を探ろうと持ちかけ、次のように説明した。「このまま私がオペレーション業務を実行することはできませんし、これは私の担当でもありません。私が続ければ混乱を招くだけです。オペレーションチームが引き継げるように、詳細な引き継ぎ書を作成しますがどうでしょう」

 追加業務を引き受けてもよいと思っていたり、引き受けることが自分の成長につながると思う場合は、その追加職務を引き受けることで期待すること(将来さらによい仕事を任せてもらえたり、昇進に近づいたり、取締役会で名前を出してもらえるなど)を明確にすべきだ。また、あなたが追加した価値を反映して、報酬を調整してもらう。たとえば、「この半年間、A、B、Cの3つの業務を担当してきました。担当範囲の拡大に見合った報酬にしていただくには、どのような形が最も適切でしょうか」という言い方ができるだろう。

断るタイミング3:明確な脱出戦略がない

 追加職務を引き受ける場合は、それに伴う仕事の全容を把握してからにすることだ。引き受けてからの誤解は避けたいし、助っ人業務に終わりがないのも困るだろう。もしかすると上司から、新しいイニシアティブへの参加を求められるかもしれない。その場合は、具体的な情報を得よう。どのくらいの期間、そのプロジェクトに必要とされるのか。どのようなミーティングに出席を求められるのか。

 明確な情報を得てみたところ、引き受けてしまうと膨大な仕事量になることがわかった場合は、心を込めて次のように言うとよいだろう。「この機会をご提案いただき、ありがとうございます。面白そうなプロジェクトですが、私には、その目標を達成するために必要な余力やリソースがありません。そのような状態で引き受けるのは、誠実さを欠いているように思います」

 代わりに、もう少し小規模な手助けを申し出てもよいだろう。ブレインストーミングのミーティングに参加したり、ビジネスプランの草案の相談に乗ったりできないだろうか。自分が手伝える部分や方法を申し出ると、前向きな人間であり、チームプレーヤーであることを示せるだろう。

断るタイミング4:不合理な依頼である

 2日以内に事業計画をゼロから作成してほしいと、上司があなたに頼んできたとしよう。依頼を実現することが不可能だとあなたはわかっているけれど、どのように対応すべきかわからない。そんな時は「ポジティブ(前向き)なノー」の戦略をとろう。そうすれば人間関係を強めつつ、自分の時間を守ることができる。会社上層部の要請に対して、与えられた時間でできることを説明してもよい。

 たとえば、「金曜日の午後までに、報告書全体を完成させることは不可能です。でも、セクション1の初稿なら用意できます。いかがでしょう」と言う。あるいは、スケジュール調整を提案して、「この課題は重要だと聞いています。金曜日は無理ですが、月曜日の午後まで時間をいただければすべてできます」と言うのだ。

 あなたとは別に手伝ってくれる同僚や、下請業者の紹介を申し出てもよい。「これは私の専門分野ではないので、お力になれそうな同僚の名前をメールいたします」というような対応はできるだろう。

 すべてのことにノーとは言えないが、正しい理由に基づきノーと言うことは自信になるし、自分に対するエンパワーメントになるだろう。


"When - and How - to Say No to Extra Work," HBR.org, November 15, 2022.