職場で更年期を自然なことととらえる

 更年期(およびその他の職場のタブー)についてオープンに話すことの利点は明らかであるものの、多くの人は当然ながら、そうすることに抵抗がある。英国で行われた最近の調査では、約半数が職場で更年期であることを公表することに抵抗を感じていることがわかった。

 女性約100人を対象に行った筆者らの調査では、約3分の1が「職場で更年期について話さない」、別の3分の1が「特定の人としか話さない」、残りの3分の1が「オープンに伝える」と答えた。この「加齢に伴う自然なこと」について同僚と誠実に交流することが重要だと感じる女性がいる一方で、職場で更年期について話すことに抵抗がある女性は、差別や恥ずかしさという懸念を示した。

 このように、更年期の人に対するバイアスを克服するためには、それについてオープンに話すことを奨励する職場文化を築くことが重要だ。筆者らの調査で、特にリーダーを目指している女性にとっては、ホットフラッシュが起きた時にそれを認め、恥ずかしがらずに更年期が理由であると説明することが、自信とリーダーシップの可能性を示す有効な方法であることが明らかになった。また、更年期について誰かがオープンに話すことで、更年期が自然なこととなり、他の人も後に続きやすくなる。

 同時に、これらの問題への対処は、更年期にある人だけの責任ではないと認識することも重要だ。マネジャーは、報復や差別を恐れることなく、誰もが安心して問題を公にし、サポートを求めることができるような、心理的安全性の高い職場づくりに努めなければならない。

 こうした職場を構築するために、リーダーはまず自分自身の状況(更年期やそれ以外)についてオープンにし、他の人の経験に耳を傾け、そこから学ぼうとする姿勢を明確に示すことから始めるべきである。また、従業員リソースグループ(ERG)を支援し、更年期の影響について誰もが学べるような教育リソースを提供し、室温を涼しくしたり扇風機を用意したりして便宜を図ることができる。そして、最も重要なことは、更年期に対するスティグマ(負の烙印)が生じた時には積極的にそれに対処することだ。

 世界の労働人口の半分にとって、更年期は人生の中で自然な(そして避けられない)ものだ。それはまた、トップリーダーの地位に昇進する可能性が最も高い時期と重なる。そのため、この重要な層の潜在的リーダーを見落とさないようにするためには、男女を問わず、更年期や加齢に関連する有害なスティグマを認識し、排除する努力をしなければならない。

 認識を深め、バイアスと闘い、人々がキャリアと人生の各段階において、沈黙させられたと感じるのではなく、サポートされていると感じられるようにすることは、すでにトップにたどり着いた人々の責任だ。


"Research: Workplace Stigma Around Menopause Is Real," HBR.org, December 20, 2022.