グレート・カンパニーに学ぶ時

 グレート・カンパニーと呼ばれる企業が、事業をどのように運営し、いまの世のなかにおける自身の役割をどのように認識しているのか、いい加減、事業に関する常識や理論に反映させる時期である。

 これまで経済学者や投資家は、事業の目的は金儲けにほかならないと主張してきた。そう、儲かれば儲かるほどよいと。アメリカの資本主義システムの根底には、この都合のよい狭量な考え方が横たわっており、大半の企業を型にはめている。すなわち、短期利益を最大化することであり、株主に利益をもたらすことである。また、その意思決定は金融用語で語られる。

「都合のよい」と申し上げたのは、この偏狭な理屈のせいで、企業は莫大な資源を自由に使っており、よくも悪しくも世界に影響を及ぼしているという事実、また企業を支えている社員やパートナー、消費者の生活は企業の戦略に左右されるという事実を忘れてしまうからである。そして何より、伝統的な事業観では、グレート・カンパニーの成功法則を理解できない。