成功するビジネスと持続可能なビジネス

 昨今、持続可能なビジネス手法の必要性を本気で否定する人はだれもいない。地球の運命などそっちのけでビジネス一辺倒の人でさえ、ビジネスそのものの実現性が、健全な生態系の源泉──新鮮な水、きれいな空気、確固たる生物多様性、肥沃な土地──や公正な社会の安定に左右されることを知っている。幸い、我々の多くはこのような問題に真正面から取り組んでいる。

 にもかかわらず、全体で見ると、ビジネスが社会に及ぼす悪影響を減らすうえで、我々は進歩しているとはいえない。意欲的な取り組みを始めている優れた企業もあるが、ビジネス活動の負の影響は拡大し続けている。

 問題は単純明快である。環境に悪影響を与える製品を買うほうが、環境への負荷が少ない製品を買うよりも概して安価だからである。地球にとって高コストであっても、顧客にとっては高価にならない。もちろんこれは、事業活動によって地球にもたらされる損害を企業が負担しなくてもよいからだ。このような影響の多くは正確に測りにくい、あるいは個々の企業に公正に割り振りにくいため、そのコストは常に企業会計において外部的なものだった。