新しい組織モデル「協働する共同体」

 ソフトウエア・エンジニアのジェームズ(仮名)は、コンピュータ・サイエンス・コーポレーション(CSC)に入社した日のことをはっきりと覚えている。最初に言われたのが、「これが『指示書』です」だった。指示書は、同社では唯一絶対のものである。

 ジェームズはこう語る。「仕事のやり方についてはわかっているつもりでした。くだんの指示書を開いてみると、当たり前のことですが、どのようにソース・コードを割り当てるのか、書類のどこにCR(変更要求)番号を書くのかなど、仕事のやり方が書いてありました。ショックでした」

 CSCの同部門では、ソース・コードはもはやプログラマーが作成するものではなく、プログラマーはCMM(能力成熟度モデル)[注1]に従う。ジェームズは当初、この高度に組織化されたプロセスが官僚的すぎるように思えた。