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ハイブリッドな職場環境に
特化した新しい評価方法
ハイブリッドな職場環境におけるマネジメントの最大の課題の一つは、業績を正確に評価する方法を見つけることだ。ほとんどオフィスで勤務する従業員もいれば、リモート勤務の従業員もいるため、マネジャーが部下と顔を合わせる時間の長さによって評価が過度に左右されないようにすることが重要である。
筆者は著書The Whole-Person Workplaceの執筆に当たり、パンデミックに関連したリモートワークやハイブリッドワークの課題に取り組む40社以上の代表者にインタビューし、従業員の評価に焦点を当てた。従来の優れたマネジメント方法がいかに重要であるかを示す事例が数多くあった一方で、条件を公平にし、従業員もマネジャーも同じように最高の仕事をすることを可能にする、ハイブリッドに特化した新たなアプローチが存在することがわかった。以下では、筆者が学んだことを紹介したい。
文化と価値観を重視する
ハイブリッドな職場においては、働く場所に関係なく、すべての従業員が組織の価値観を理解し、それに従って行動することが極めて重要だ。
共通の価値観を強化する方法の一つが、業績評価のアプローチである。たとえば、オンライン小売業のザッポスでは、業績に加え、日々の業務でザッポスの文化を推進しているかどうかの両方で従業員を評価している。創業者で元CEOのトニー・シェイは、「文化にそぐわない人は、たとえ仕事を完璧にこなしていても解雇する」と語っている。
ニュージャージー州に拠点を置く空調機器供給会社ジョンストーン・サプライも、価値観を業績評価プログラムの中心に据えている。最高人事責任者(CHRO)のクリス・ゲシクターはこう話す。「業績評価を行う際には、私たちの価値観が主要な基準となっている。評価の大半は、コアバリューを振り返り、従業員の行動が顧客サービスやチームワークといったコアバリューと合致しているかどうかを評価するものだ。私たちにとって業績評価は、一年を通して行われる対話であり、自己評価を多く伴う」
価値観に基づいた評価のアプローチは、異なる場所にいる従業員の業績を評価する共通のプラットフォームを構築すると同時に、統一された職場文化を促進する。価値観を業績評価に取り入れるのは必ずしも新しいことではないが、特にハイブリッドな環境では、こうした取り組みの強化が強く影響を及ぼすと考えられる。
最も重要な指標を継続的に追跡する
ダラスに拠点を置く税務サービス会社のライアンは、2008年に「完全結果志向の職場環境」(ROWE)に移行し、従業員はいつでもどこでも仕事ができるようになった。この移行は大成功を収め、離職率は激減し、士気、エンゲージメント、顧客満足度、財務実績は急上昇した。
それを実現するカギとなっているのが、合意された指標を使った業績評価アプローチだ。継続的に業績は測定されており、便利なイントラネットのダッシュボードでいつでもアクセスできる。元CHROのデルタ・エマーソンはこう説明する。「マネジャーも従業員も、ログインしてダッシュボードを見ることができます。収益目標やその他の業績目標が表示され、自分の状況や業績がインセンティブ報酬にどう反映されるかがわかります。また、グループ内の離職率やエンゲージメントスコアを把握することで、マネジャーに責任を課しています」
目標を明確にし、業績を継続的に測定するライアンのアプローチは、ハイブリッドな職場環境にそのまま適応できることに注意すべきである。このシステムは、主にオフィスで働く従業員と、リモートで働く従業員の双方にとって公平で透明性がある。そして重要なのは、従業員のエンゲージメントと維持について、マネジャーに責任を課していることだ。