よい印象を与えるには、人間らしくいること

 AIが使われる場合も含め、AVIには欠陥があるが、それでも実施される可能性は高い。ではどうすれば、この種の面接に最もうまく対応できるのだろうか。

 AI面接のプラットフォームの多くが勧めるのは、「自分らしくいる」ことだ。しかし筆者らは以前の調査で、就職志望者がまさにこれを苦手としていることに気づいた。AVIに直面すると、不自然に振る舞う傾向があったのだ。

 見栄えをよくする方法をいかに自分で考えて調整したかを、体験者らは語ってくれた。正しい姿勢を維持する、視線を固定する、手振りをなるべく使わない、などだ。アルゴリズムによい印象を与えようと試みる中で、自分自身がロボットになったように感じたと話す人が多くいた。

 どのテクノロジーが使われているかに加えて、テクノロジーの存在によって感じるプレッシャーについても理解することが、よい印象を与える上でカギとなる。たとえそれ自体がどれほど不自然に感じられても、できるだけ自然体でいることが効果的だ。ロボットのように硬直するというよくある反応を防ぐには、最初にオンラインでほかの人がいる前で練習し、次に一人で練習することをお勧めする。

 まずは、スクリーンに向かって話すことに慣れよう。友人に頼み、ズームやワッツアップのビデオを使って事前に決められた質問をしてもらうとよい。面接の質問は、さまざまな大学のウェブサイトが学生向けのデジタル面接対策として提供する質問集から見つかる場合が多い。

 このロールプレーは3段階のアプローチで進めるとよい。最初はカメラをオンにして、スクリーン上でこちらが友人を見ている状態で質問をしてもらう。相手の存在に安心感を覚え、通常の面接と同じように自信を持って答えやすくなるはずだ。自分の姿を録画し、再生して、どこがよかったかを分析しよう。ポジティブ心理学によれば、要改善点ではなく長所に焦点を当てることで、目標とする行動の上達が早まる可能性がある。

 次に、同じ練習を繰り返して友人に質問してもらうが、カメラはオフにする。真っ暗なスクリーンに向かって話すのは気まずいが、AVIの使用体験に近づくはずだ。今回も録画してビデオを分析し、うまくできた部分を見つけ、前回との違いがあったかを書き留めておこう。

 第3のステップでは、いくつかの質問を資料として用意し、一人で練習する。コンピュータのスクリーンに向かって話し、自分の姿を録画する。よかった点は何だろうか。人間を相手にした時と異なる部分はあっただろうか。

 3つのステップすべてを分析することで、異なる状況下での自分の出来栄えを認識できる。そして練習を通じて、AVIの最中でも人間同士の会話と同じような自然さを発揮できるようになる。

 最後に、心理的準備はAVIに備えるために不可欠だが、実践的な部分も重要だ。筆者らの調査の中で、合格した志望者は、自分の環境をある程度「実務的」にすることに時間を費やしていた。背景を無地にして、カメラにきちんと記録されるよう照明と音を適切に設定し、テクノロジーが正常に機能するよう念入りに確認している。

 さらに、面接の前に本番と同じ環境でリハーサルを行い、落ち着いて面接に臨めるよう十分な時間を確保していた。実質的に彼らは、あたかも対面式の面接に臨むかのように、心理的準備と物理的準備の両方を整えていたのだ。

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 AVIは新しい採用手法だが、就職志望者にとって習熟が難しいものではない。プロセスと自分のパフォーマンスについて、自分を批判せずに振り返りをしてほしい。私たちは人間であり、就職面接という重要な場面で新しいテクノロジーに直面すれば、不快感と不安が生じることもある。だが何事もそうであるように、自動面接も経験を積めば積むほど、上手にできるようになるのだ。

 そして、このテクノロジーはまだ新しいということを忘れてはならない。AIはあなたが思うほど有能ではなく、あなたが実際にどのような人間なのかを理解するには限界があることが、多くの研究で示されている。したがって、AIのせいで自信を失ってはならない。


"Are You Prepared to Be Interviewed by an AI?" HBR.org, February 07, 2023.