AIによる面接を受ける準備はできているか
Anton Vierietin/Getty Images
サマリー:採用面接へのAI導入が進んでいる。本稿では、AIを活用した面接において、自分をアピールするための手法を提示する。AIは、人間を見極める能力という点で、完璧ではない。そのため、AIを活用した面接を受ける際は、準... もっと見る備を整え、どのような結果になっても自信を失ってはならない。 閉じる

採用面接へのAI導入

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック下で人々が孤立していた期間に、人材マネジメントに関するプロセスの多くがオンラインに移行した。人と対面する生活が戻ってきても、そのままオンラインで定着したプロセスも多い。

 その一つは、バーチャルまたは事前録画による就職面接であり、人工知能(AI)によって主導されるケースが増えている。これらの面接によって通常の採用プロセスが短縮され、企業は適切な候補者をより低コストで見つけやすくなる。

 この潮流によって求職者の体験は恒久的に変わったが、それがよりよい体験になっているとは限らない。今日、初めての仕事や配属先、インターンシップを探している若い求職者は、最初の面接で人間ではなく機械と向き合う可能性がある。

 最も極端なタイプの自動ビデオ面接(AVI:automated video interview)では、事前に決められた複数の質問を機械が志望者に尋ね、それを短い時間内で答えさせる。そして、その人物に関する決定を即時にその場で下す。筆者らはこれを、AI主導の面接と定義している。

 AVIには、対面や電話による従来型の面接と変わらない要素もいくつかある(求職者は依然として、よい第一印象を与えなくてはならない)。だが求職者にとって、AI主導の面接には不可解な部分も多い。よい印象の与え方は、オンラインと対面でどのように異なるのだろうか。そしてアルゴリズムに好印象を与えるには、どうすればよいのだろうか。

 本稿では簡潔なガイドを通じて、上記の疑問に対処するための助言をいくつか提示したい。最初に、AVIがどのように構成されるのか、そして面接中にどのデータが収集される可能性が高いのかについて、概要を説明する。次に、アルゴリズムと向き合うために、どのように心理的準備をすべきか要点を述べる。最後に、よい第一印象を与えるために実践できる具体的な手段をいくつか提示する。

自動ビデオ面接とは何か

 準備の第一歩は、自分がどのような種類の面接に臨もうとしているのかを認識することだ。選考プロセスでテクノロジーがどう使われるかに応じて、複数の異なるタイプがあり、AIが関与する度合いもさまざまだ。

 また、すべてのビデオ面接でAI技術が使われるわけではないことにも留意しておく必要がある。たとえば、ビデオの録画のみが行われ、後ほど採用責任者がそれを視聴するタイプの面接もある。他方、ビデオからさまざまなデータが収集され、AIによって処理されるものもある。いくつかの主要な面接のタイプを以下に挙げる。

 来たる面接が実際にAIを伴うのかどうかを確認するために、面接に関するメールや細則の中で、次の用語を見逃さないよう注意しよう。機械学習、予測分析、決定アルゴリズム、レコメンデーションエンジン、データに基づく意思決定などだ。

 これらの用語が見つかった場合、3種類のデータが収集される可能性があると思われる。視覚データ(顔の表情、目の動き、手の動き)、言葉のデータ(語彙、キーワード)、声のデータ(声のトーン、発音)だ。AI主導の面接では収集したデータを使って、企業の求める人材に志望者がふさわしいか否かに関する予測が自動生成される。

 たとえば、志望者の適否を予測するよう設計されたAIは、過去の採用者と彼らの入社後の業績に関するビッグデータを用いて、優れた業績と相関しうる志望者の特徴を予測するかもしれない。