
職場の包摂性を高める7つのアクション
職場におけるインクルージョン(包摂性)を高めるのに、大がかりなDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)のキャンペーンが必要とは限らない。あなたが大きな権限を持つポジションにいる必要もない。私たち一人ひとりがインクルーシブな仕事仲間になることを決意して、毎日、職場の文化を改善する小さな行動を起こせばよいのだ。
自分の行動を少し変えるだけで、同僚の職場体験に大きなプラス効果をもたらすことができる。長期預金口座にある小額の預金に少しずつ金利がつくように、時間がたてば、あなたのアクションは大きなインパクトをもたらすだろう。そこでカギとなるのは、自分が繰り返し実行できる行動変容を見極め、それを習慣化することで、自動的に実行できるようになることだ。
組織におけるインクルージョンとは、一人ひとりの同僚の才能と資質を、型にはめずに受け入れ、大切にするということだ。それが実現すると、従業員が職場でより幸せを感じるだけでなく、組織も従業員のユニークな洞察力や生産性の向上から恩恵を受ける。
本稿では、あなたがよりインクルーシブになり、快適で安全な労働環境の構築を推進するためにできる7つの小さなアクションを紹介しよう。
1. 他者の貢献を称える
職場で従業員の取り組みに対する透明性を高めると、人は実力を発揮し、意思決定者に存在を知られて、よりよい人間関係が構築できるようになる。研究によると、不利な立場にある集団(欧米諸国におけるアジア系従業員など)の貢献は、組織的に見過ごされている。
能力は非常に高いのに目立たない同僚を探して、大勢の前でその人の貢献を称え、ミーティングで発言したり存在感を示したりするよう促して、その実績に注目が集まるようにしよう。
2. 代名詞に言及する
ミーティングの自己紹介で、自分を代名詞(彼、彼女、あなたなど)で呼ぶ時は、どの代名詞を使ってほしいか明らかにする。そうすることで、自認するジェンダーとは異なる代名詞で呼ばれがちなことに苦しんでいる同僚に、あなたがアライ(味方)であることを示せる。また、このように代名詞に言及する重要性を、他の人たちにも認知してもらえる。
3. ジェンダーインクルーシブな言葉を使う
研究によると、職場でジェンダーインクルーシブな話し方がなされていると、LGBTQの従業員のウェルビーイングが高まる。たとえば、「男たち」(guys)ではなく「人々」(people)という言葉を使うと、誰もが仲間に加えられていると感じることができる。