マイクロマネジャーではなくコーチになる
従業員に答えを与えたり、仕事の進め方を指示したりしないようにする必要はあるが、彼らが自分たちでは得ることのできない視点を提供しなければならない。フィードバックをする際には、失望や軽蔑の言葉を浴びせるのではなく、軌道修正を少しずつすることだ。
一人ひとりの従業員を指導する際のあなたの主な責任は、仕事のやり方を指示することではなく、適切な方向に注意を向けさせることだ。自分のアプローチを疑うことのできるような質問を投げかけ、自分の思い込みを見極めたり、別の方法を実行したりするよう教える。そして、自分のやり方が意図しない影響を与えることを理解させる。
先に挙げた例では、こう問いかけて導くことができる。「このローンチで最も重要なのは、パイロット地域を正しく設定することだと思います。現在の計画では西海岸が先ですが、東海岸の大手の取引先がどう反応するか懸念しています。最初にローンチする地域の基準はどのように考えていますか」
適切な結果責任を求める
学習の基本として、結果に対する責任を負わせることを筆者が勧めると、リーダーたちから驚かれることがある。ただし、有益で建設的な行動に目を向け、責任を負わせる見返りに与えるものは、ポジティブで取り組みをさらに強化するもの(承認、報酬、より大きな責任など)にしなければならない。必要な時には、ネガティブな責任を求める。最初は比較的無難な介入(期限を守らない人にマイルストーンの数を増やすという責任を課す)から始め、行動に変化が見られない場合は、それに応じて求める責任を大きくしていく。
結果に対して責任を求めることは重要だ。しかし忘れてはならないのは、思いやりを持つということは、リーダーであるあなたは何もする必要がないということを認識すべきだ。なぜなら、結果への責任を求められた人は、それに伴い失望や苦しみも味わうため、それだけでも十分責任を負わされているからだ。
万策が尽きたらチームを離れてもらう
最後に、最も直感に反するアドバイスをしたい。パフォーマンスを発揮できない人に対して、思いやりのあるリーダーは、その人を解雇することが、最も思いやりのある方法であることを理解している。なぜなら、チームには社会的な力学が働いており、メンバーの一人があなたの信頼を失うと、他のメンバーには自分たちが困難な状態にあると伝わることが多い。その結果、彼らのグループに対する信頼が失われ、成功する可能性が低くなる。
こうした状況では、そのメンバーが潔くチームを離れ、新たな仕事を探す手助けをすることに、あなたの思いやりをそそぐことが最善の方法だ。
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仕事の成果に対する責任を促しながら、個人に思いやりを示すのは、バランスを取るのが難しい。それを成功させる秘訣は、明確な期待を示す指標を多く設定し、責任の所在を変えることなく、小さな指導とフィードバックを頻繁に提供してチームメンバーを支援することだ。それが幸福で健全で、生産的なチームをつくる勝利の方程式だ。
"Hold Your Team Accountable with Compassion, Not Fear," HBR.org, February 13, 2023.