データを効果的に伝えるためのたった2つの問い
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サマリー:データを効果的に伝えようと、まずグラフをつくろうとしてはいないだろうか。筆者はその前に行うことがあると指摘する。それが2つの問いかけである。この問いかけを行うことで作業をより効率化できる。本稿は、『ハ... もっと見るーバード・ビジネス・レビュー』のシニアエディターがデータ可視化について持てる知識とノウハウをすべて詰め込んだ決定版『ハーバード・ビジネス・レビュー流 データビジュアライゼーション』(ダイヤモンド社)の一部を抜粋し、紹介したものである。 閉じる

グラフ作成への衝動を抑える

「荷物をまとめて。旅行に行くよ」と友達に言われたら、あなたはどうするか。「オッケー、いいね」と答えてスーツケースを取り出し、服を詰め始める、なんてことはしないだろう。できるわけがない。質問したいことがたくさんあるはずだ。「どこに行くの? どれくらい? どうやって行くの? どうして旅行に行くの? どこに泊まるの?」。目的がわかるまで荷造りはできない。

 ところが、インフォメーションビジュアライゼーションとなると、すぐさまグラフのタイプを選び、ボタンをクリックして作成したい衝動に駆られる。この衝動を抑え、後の「荷造り」を容易にする質問について考えることから始めるべきだ。

性質と目的に関する2つの問い

 視覚的に考える最初のステップが、ビジュアライゼーションの性質と目的に関する2つの問いについて考えることだ。

1. 情報は「概念的」か、それとも「データ主導」か
2. 自分は「宣言」しているのか、それとも「探究」しているのか

 この2つの問いに対する答えがわかれば、必要なリソースとツールを考え、最終的に使用するビジュアライゼーションのタイプがわかってくる。

概念的かデータ主導か

 1つ目の方が簡単で、たいてい答えは明白だ。概念や定性的な情報を視覚化するのか、それともデータや情報をプロットするのか。ただ注意してほしいのは、この問いは情報そのものについてであり、それを示すために最終的に使用するチャートの形式のことではない。

 データ主導のチャートが概念的な形式を取ることもあるし、その逆もある。次のマップは明らかに統計をプロットしたものではないが、表示されているブランドは定量的な価値を表している。

 逆に、次の「ハイプサイクル」のチャートは一般的なデータ主導の形式である折れ線グラフを使用しているが、ここにデータの値は存在しない。これは概念だ。

 最初の問いが明らかにするのが、あなたが「持っている」ものだとすると、2つ目の問いが引き出すのは、あなたが「している」ことだ。後者は二者択一ではないのでより複雑だ。