
助けたい人を適切にサポートする
人間は「社会性のある」種として進化を遂げ、
とはいえ、「誰かの助けになりたい」と思うことと、「相手がどのような助けを求めているのか、あるいは必要としているか」を理解していることは別の話だ。リーダーは、部下の自律性や主体性を奪ったり(マイクロマネジメント)、次に何をすべきかわからない状態に放置したり(指導不足)せずに手助けをするという重要な役割を持つ。
この緊張がしばしば表面化する場面の一つが、直属の部下が助けを求めてきた時だ。どうすれば最も有効にサポートを提供できるのか。どうすれば目標設定から目標達成までの道のりを助けることができるのか。
部下が新しいポジションに就いたばかりの時や、新しいプロジェクトに加わったばかりの時、あるいは適切な方法が一つしかない時は、その手順を細かく教えることが理にかなっているかもしれない。だが、部下がある程度経験を積んでいる場合は、次のステップを自分で考えさせ、設計させるのがリーダーの役割だ。そうすれば、部下たちは自分のつくった計画の実現にさらに力を入れる可能性が高い。
次のような会話は、マイクロマネジメントに当たる。
部下:「営業電話の記録をさらに一貫した方法で録りたいのですが、手伝ってもらえますか。きちんとしたデータに基づいて、顧客をフォローアップしたいのです」
あなた(リーダー):「よい考えです。喜んで手伝います。君がやるべきことはこれです……[あなたのプランを入れる]。メモを取るとよいでしょう」
リーダーにこう言われると、部下はみずから解決策を探ったり、独創性や主体性を発揮したりする余地がなくなってしまう。
これに対して、次のような会話は指導不足だ。
部下:「営業電話の記録をさらに一貫した方法で録りたいのですが、手伝ってもらえますか。きちんとしたデータに基づいて、顧客をフォローアップしたいのです」
あなた(リーダー):「よい考えです。喜んで手伝います。いつでも声をかけてください」
指導過剰になってはいけないからと、「いつでも声をかけてください」とオープンな姿勢を示しているのかもしれないが、これでは部下が具体的なアクションを取る助けにはならない。