
購入者に対してレビュー投稿を促すのに最適なタイミングはいつか
今日、多くのマーケットプレイスで、顧客が製品を購入したり、サービスへの対価を支払ったりした直後に、レビューのリマインダーが送信される。そのリマインダーがレビューの数を増やすという前提に立っているのだ。それはもっともで、購入から時間が経つほどに顧客はレビューを投稿しなくなる。それを考えれば、できるだけ早い時期にレビューのリマインダーを送ることは、企業にとって理にかなっているように思われる。
しかし、本当にそうだろうか。あなたが最後に企業からレビューを依頼された時のことを考えてみてほしい。どのくらいの早さで送られてきただろうか。おそらくすぐに依頼を受け取り、あまりの早さにイライラしたことだろう。
顧客はたいてい、レビューを投稿する前に、製品を評価したり、その経験について考えたりする時間が必要だ。あまりに早くレビューを求められると、プレッシャーや焦りを感じ、レビューを投稿しないという選択をすることもある。ある調査によると、オンラインショップを利用する人の大半は、商品到着後2日以上経ってからレビューを投稿しており、商品到着の当日にレビューを投稿する人はわずか8%だった。
このプロセスを詳細に調べるため、筆者らは2つのランダム化対照フィールド実験を実施した。レビューのリマインダーを送るタイミングは、商品体験の翌日、5日後、9日後、13日後の4つに分けた。それぞれのタイミングにおいて、顧客を無作為に処理群と対照群に割り当て、リマインダーは処理群にのみ送られた。
世間一般の通念とは異なり、レビューのリマインダーをすぐに(商品体験の翌日)送ると、対照群と比べ、顧客がレビューを投稿する可能性が低くなり、リマインダーを遅らせる(13日後)と、その可能性が高まることが示された。
しかし、商品体験の5日後と9日後にリマインダーを送った場合は、レビューが投稿される可能性に有意な差は見られなかった。この主な理由は、リマインダーは記憶を適度に呼び起こす役割を果たすものの、「いつでも自由にレビューを投稿できる」という顧客の意識を妨げるためだと考えられる。それが心理的リアクタンスと呼ばれるネガティブな動機づけを生み、記憶を呼び起こす効果を上回ってしまうのだ。
では企業は、顧客にレビューをリマインドするタイミングをどう判断すべきなのか。筆者らの調査結果が示す最善のアプローチは、次のようなものだ。
1. 過去に顧客が製品やサービスのレビューを投稿するのにかかった平均時間を調べる。
2. 平均時間が経過しているかどうかを確認する。
3. 平均時間が経過していなければ、レビューのリマインダーを送ってはいけない。顧客のじゃまをしないようにする。
4. 平均時間が経過しているなら、レビューのリマインダーを顧客に送る。
研究ではこのほかにも、企業がサービスを提供する顧客や、提供する製品カテゴリーによって影響が微妙に異なることを示す2つの発見があった。