
ビジュアライゼーションの4象限
性質と目的についての問いを組み合わせて古典的な4象限マトリックスにすると、ビジュアライゼーションは4つのタイプに分けられる。自分が取り組んでいることの象限がわかれば、使用する形式、必要な時間、必要なスキルを適切に判断できる。左上の象限から反時計回りに見ていこう。
アイデアの説明(左上の象限)
この象限は「コンサルタントのコーナー」と呼んでもいいかもしれない。コンサルタントはプロセス図、サイクル図など、アイデアを表すダイアグラムを作らずにはいられず、時に有害な効果を生むからだ(筆者の同僚、『ハーバード・ビジネス・レビュー』の編集者ガーディナー・モースは、この種の凝りすぎのダイアグラムを「クラップ(無価値な)サークル」と呼ぶ)。
しかし、宣言型で概念的なビジュアライゼーションは、メタファー(木や橋)やシンプルな手法(円や階層)を理解する能力を利用して、複雑なアイデアを単純化する。組織図、ディシジョンツリー、サイクル図は典型的な例だ。本章の枠組みとなっている4象限マトリックスもここに含まれる。
アイデアの説明には明確で簡潔なデザインが求められるが、案外欠けていることが少なくない。このタイプは、軸や正確にプロットされるデータによる制限がないが、メタファーに頼ると、強調しようとして余計な装飾をしてしまう。例えば、「顧客ファネル」を説明する際、ファネルすなわち漏斗のイラストを使いたくなるかもしれないが、デザインとして適当ではないことがある。
この象限では、データの規律や範囲が定められていないため、自分で決めなければならない。明確なコミュニケーション、構造、アイデアの論理に重点を置く。ここで必要なスキルは、編集者が原稿に手を加える時のように、クリエイティブな衝動を、明確かつ簡潔な形にすることに向けることだ。
ある企業が、R&Dグループが他業界からインスピレーションを得られるようにするため、コンサルタントを2人雇うとする。コンサルタントは「ピラミッドサーチ」と呼ばれる手法を使うことにした。R&Dのリーダーに認めてもらうため、コンサルタントはその仕組みを説明するダイアグラムを作った。
このアイデアの説明は、デザインが過剰だ。色のグラデーションやドロップシャドウの付いた矢印、分割された立体ピラミッドが目立っていて、我々の目はアイデアから遠ざかって装飾に向かう。このような図は危険信号だ。
メタファーも効果的に使われていない。ピラミッドサーチの説明のはずが、サイクル図になっている。ピラミッドは何の効果もないただの絵になっていて、紛らわしい。エキスパートとトップエキスパートを同じレベル(ダイアグラムの一番下)に配置しており、高さでステータスの違いを表現していない。