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営業人材に対して人事支援プラットフォームが効果を発揮する理由
B2B企業では、営業部員の離職率が平均25~50%に達する。したがって、多くのB2B企業は、営業部員の採用、オンボーディング、コーチング、研修に、常にフル回転していることになる。営業部員を新規に採用して、許容できる生産性を発揮する水準まで育成するには、経験者を採用したとしても4~9カ月程度の期間を要するといわれている。その期間を短縮することが企業にとって極めて重要な意味を持つ。
そこで企業は、データの収集と解析に力を入れてより質の高い人材を、より少ないリソースで、そしてより短期間で採用、育成し、やる気を持たせようとしている。しかし、そのようなツールがもたらすスピードと効果の恩恵に全面的に浴したいと考えるならば、人事関連のさまざまなシステムをリアルタイムで連携させることが欠かせない。
企業は、営業人材のマネジメントに関わるシステムを自社で内製する場合もあるが、たいていの場合は、いくつもの異なる外部業者のシステムを導入している。そうした一つひとつのシステムは、人材マネジメントの特定の領域で摩擦を減らし、効果を高めることを目的にしている。
人事(HR)システムは、給料や手当など、社員に関する記録を合理化し、効率を向上させるためのものだ。採用管理システム(ATS)は、求職者から届いた履歴書などの応募書類を整理し、面接のスケジュールを決定し、求職者と連絡を取り、採用活動の所要期間を短縮することを目指す。「リンクトイン・リクルーター」などの採用プラットフォームは、より好ましい採用候補者を見出し、連絡を取るために用いられる。学習管理システム(LMS)は、的を絞った研修をマネジメントし、提供する。販売実績管理(SPM)システムは、営業成績を把握し、改善するのを助けるために導入される。顧客関係管理(CRM)システムは、顧客とのやり取りを円滑にする役割を担う。
常時稼働している人事支援プラットフォームを通じて、これらのシステムを連携させれば、人材マネジメントに関する市場感知能力とアジリティを高めることができる。筆者らは、そうした人事支援プラットフォームのことを「デジタル・タレントハブ」と呼んでいる。
このハブには、人材マネジメントのプロセスと意思決定を支援すべく、データに基づいたインサイトを提供するためにデジタル関連資産(データ、テクノロジー、アルゴリズム、情報マネジメントのシステムなど)が統合される。そのインサイトは、どのような成果を目指すかの決定に始まり、人材獲得、育成、保持、そして、これらの活動でセールスマネジャーが中心的な役割を果たせるようにすることなど、人材マネジメントの多くの側面で役立つことが期待される。
また、このハブを通じて、それぞれのシステムの間で、データやその他のデジタル関連資産(人工知能関連の能力など)をリアルタイムで共有する(もちろん、データの共有に関してはしかるべきプライバシー保護の仕組みを設けることが必須だ)。
このようなハブはあらゆる職種の人事にまつわる意思決定に効果を発揮するが、営業関連の職種ではとりわけ効果が大きい。営業の領域では、機会(個々の顧客の有望性など)、インプットおよび営業活動(顧客への訪問やデジタルを介した接触など)、アウトプット(売上げと利益など)を把握するための数値指標が非常に多く存在するためだ。
営業人材に関するデータはたびたび変化し、意思決定を行う機会も頻繁に訪れる。さまざまな人事関連のデータとシステムを連携させることにより、そうしたプロセスと意思決定のすべてを改善・加速させるために有効な行動の指針を引き出せる。