最後に、女性をWLDPに参加させることが、表面的な、あるいはパフォーマンス的なアライシップの一形態になる危険性がある。プログラムに参加した女性は、励みになる経験をし、エンパワーされたように感じ、新しいリーダーシップ戦略を磨くことができるかもしれない。しかし、その女性を推薦し、資金を提供した組織のリーダーが、彼女の昇進に対する個人的なコミットメント、スポンサーシップ、責任に関して真の投資を行わなければ、こうした前向きな感情は無駄になってしまう。

 本物のアライシップには、過小評価グループに属する人が昇進するための、一貫した公のアドボカシー(擁護・支持)が必要だ。それはアウトソースすることができない。

 有能な女性に、リーダーシップ研修に参加する機会を与える場合は、女性が職場に戻った時に新たな機会、そして適切な報酬が支払われる機会が得られるよう、マネジャーが支援をすることを必要条件としなければならない。それには、女性が不在の時に彼女の可能性と業績をアピールする、ストレッチアサインメントに指名する、計画的なネットワーキングを通じて社会資本を共有する、シニアリーダーの役割を担う女性を公に支援する、昇進の決定において女性への支援を表明すること含むべきだ。もしその女性がリーダーシップの養成に参加すべき才能があるのなら、のちに彼女が有意義なリーダーシップの役割に昇格する責任を他の誰かが負わなければならない。

 さらに、男性もWLDPに思慮深く参加し、女性の同僚から話を聞き、学ぶ機会を持つ必要がある。そうすれば、その知識をもとに、職場をより公平にするためにどのような協働が可能かを考えることができる。

 たとえば、シモンズ大学スクール・オブ・ビジネスのエグゼクティブ教育のWLDPは、企業向けにカスタマイズされたプログラムで、男性のシニアリーダーも2つのセッションに参加し、女性参加者とグループになって不公平を生み出しているジェンダーダイナミクスについて学ぶ。そして、社内のジェンダーエクイティに対して測定可能かつ持続的な影響を与えることのできる慣行や方針の変更について協働する。

 リーダーシップ開発の機会に女性を参加させる際には、既存の男性リーダーのうち相応の人数(組織の男女比による)をインクルーシブなリーダーシップ開発プログラムやアライシップのワークショップ、職場の公平性のために学び続ける文化的謙虚さのトレーニングなどに参加させ、彼らのジェンダーインテリジェンスを高めることを誓うべきだ。最近では、女性向けの素晴らしいカンファレンスの多くが男性の参加を募っており、インクルーシブリーダーシップ、クロスジェンダーアライシップ、メンターシップ、職場のコラボレーションに特化したプログラムを提供しているものもある。

 いまこそ女性の昇進のための有意義な取り組みを強化する時であり、女性がリーダーとして成功するための真の機会と取り組みが欠かせない。WLDPは大きな価値があるが、企業は職場そのものを評価し、改善する機会として、そうしたプログラムを活用しなければならない。

 マッキンゼー・アンド・カンパニーが実施した同社の優れた女性のためのプログラムに関する研究は、こう結論づけている。「こうしたリーダーシッププログラムは強力でエンパワーするものになりうる。ただし参加する企業が、企業自身や自社のプログラムがどう機能しているかをみずから省みる場合にのみ効果を発揮する」


"Where Women's Leadership Development Programs Fall Short," HBR.org, March 08, 2023.