持続不可能な業務負担

 ギャラップ社の調査によると、仕事を行うために十分な時間が与えられている場合は、そうでない場合に比べて、働き手が深刻なバーンアウト状態に陥る確率が70%低いという。その会社が職場内と職場外における働き手の時間をどれほど大切にしているかを判断するためには、面接で以下の問いを投げ掛けるとよい。

・標準的な勤務時間はどうなっていますか。週末に働かなくてはならないケースは、どれくらいの頻度でありますか。
・この役職では、どれくらいの時間を会議に費やす必要がありますか。会議のスケジュールはどうなっていますか。
・メールへの返信は、どれくらいの速さで行うことが期待されていますか。
・職場におけるコラボレーションのための時間を決めていますか。
・集中して仕事をしたい時、コミュニケーションを遮断することは許されていますか。
・業務負担が大きくなりすぎることを避けるために、業務の優先順位をどのように判断していますか。
・業務負担が大きすぎると感じている場合、チームはその点をどのように上層部に伝えることになっていますか。
・チームビルディングのためのイベントは、いつ行っていますか。勤務時間内ですか。それとも、勤務時間外ですか。
・職場における雑用(会議の議事録の作成やランチの注文など)の担当は、どのように決めていますか。

注意を払うべき点:その会社が過重労働を防ぐための仕組みを設けているかどうかを確認したい。職場にモーレツ型の文化が根を張っていて、すべての人が1日24時間、週7日、常に業務に対応できる状態にあることが期待されていないか。また、報酬が支払われない仕事を大量に引き受けることが期待されていないか。会議は主として朝早い時間に設定されるか、それとも夕方4時以降に設定されるか。面接で自分がどのように扱われるかにも注意を払おう。面接担当者は、約束の時間通りに姿を現したか。予定を明確にし、こまめに連絡してきたか。

報酬の欠如

 私たちは誰でも、自分の頑張りが、給料、昇進、その他のインセンティブの面で十分に報われていると感じたい。その会社が働き手のキャリアや成長に投資しているかどうかを判断するためには、面接で以下の問いを投げかけるとよい。

・昇進の基準とプロセスはどうなっていますか。
・この部署では、どれくらいの頻度で昇進がありますか。
・社員の能力開発に予算を割いていますか。
・社員にリーダーシップ研修や幹部向けのコーチングを提供していますか。
・社員へのメンターやスポンサーは、どのように割り当てていますか。

注意を払うべき点:その会社が昇進に関して明確なプロセスと客観的な基準を持っているかどうかを確認したい。ある社員の仕事のパフォーマンスに問題がある場合に、はじめてコーチングを行うのではなく、社員の能力開発を支援する手立てとしてコーチングが利用されていることが望ましい。

コミュニティによる支援の欠如

 ありのままの自分で職場に在籍し、不安を感じることなく会社に貢献し、時には失敗も許される環境で働けることが望ましい。たとえば、プライベートと仕事のモード変換に大きな労力を費やさなくてはならなかったり、どこかで一つでも失敗すれば能力が不足していると思われるのではないかと心配していたりすれば、働き手は疲弊し切ってしまう。その会社がこうした点で働き手に十分なサポートを提供しているかどうかを判断するためには、以下の問いを投げかけるとよい。

・社員へのフィードバックはどのように行っていますか。
・社員がミスを犯した場合、どのように対応していますか。
・全員が自分の意見を述べられるようにするために、どのような措置を講じていますか。
・対立が生じた場合は、どのようにマネジメントしていますか。
・チームのメンバーに対する直接の近況確認は、どれくらいの頻度で行っていますか。
・チームの士気の高さは、どのように評価していますか。

注意を払うべき点:その職場のマネジャーが失敗から学習することに前向きかどうか、そして、一人の人間としてのあなたに関心を持っているかどうかを確認したい。面接の時は、以下の点に注意を払おう。面接担当者は、しっかりあなたを見て、あなたの言葉に耳を傾け、あなたに敬意を払っているか。その人物は、あなたをリラックスさせようとしていたか。面接で仕事以外の関心事についても尋ねられたか。面接担当者は、積極的に傾聴するというスキルを発揮していたか。また、面接担当者が数人いる場合は、その人たち同士のやり取りも観察しよう。その人たちは、積極的に協働しようとしていたか。互いに対して、辛抱強く、そして感じよく振る舞っていたか。誰か一人だけがしゃべり続けたり、ほかの人の発言を遮ったりしていなかったか。

価値観の不一致

 私たちは誰でも、自分の仕事が意味のあるものだと思いたい。そのため、会社と自分の価値観が一致していないと、モチベーションが低下しかねない。その会社と価値観が一致しているかどうかを判断するためには、以下の問いを投げかけるとよい。

・この役職は、会社のミッションとどのように結びついていますか。
・会社の価値観がどのような形で意思決定の指針になっているか教えてもらえますか。
・このチームの仕事は、会社の目標にどのような影響を及ぼしていますか。
・私はどのようなOKR(目標と主要な結果)に基づいて評価されることになりますか。
・勤務時間内のコミュニティ奉仕活動を奨励していますか。
・会社は地域コミュニティにどのように貢献していますか。

注意を払うべき点:面接担当者が会社の価値観を明確に説明できたか、会社の価値観があなた自身の価値観と一致しているかを確認したい。ダイバーシティや環境のサステナビリティ(持続可能性)など、あなたが大切にしている価値についてさらに突っ込んで質問してもよいだろう。

* * *

 もし、あなたがバーンアウトの問題を抱えているとすれば、転職先探しを始める前に、まずは、仕事と私生活の境界線を定めたり、リセットしたり、自分のニーズや価値観を明確にしたりするためのサポートを受けるべきかもしれない。そして、新しい職に応募できる状態になったら、本稿を手掛かりに、あなたを支えてくれる会社を探し、自分のニーズと価値観に合致した会社を見つけ、新しい職で成功を収めるための準備を整えよう。


"How to Tell If a Potential Employer Has a Burnout Culture," HBR.org, March 28, 2023.