採用面接で「ブラックな職場」かを見極めるための質問集
Yaroslav Danylchenko/Stocksy
サマリー:研究によると仕事における燃え尽き症候群(バーンアウト)は、個人の問題ではなく、職場環境に根を張るネガティブな要素が原因で起こる。昇進の機会が平等でない、個人の主体性や柔軟な働き方が認められていない、職... もっと見る場で孤独を感じる、といったことだ。本稿では、転職先を探している人が、みずからに最適な、バーンアウトに陥らない会社、職場を見つけるために必要な質問を紹介する。 閉じる

転職先の候補の会社は、本気で健全な職場環境の構築に取り組んでいるか

 燃え尽き症候群(バーンアウト)は、あくまでも個人レベルの問題だと見なされる場合が多い。しかし、研究によると、仕事におけるバーンアウトは、職場の環境に根を張っているネガティブな要素が原因で起きる。たとえば、昇進の機会が平等に与えられていなかったり、働き手の主体性や柔軟な働き方が認められていなかったり、職場に自分の居場所がないように思えたり、職場と自分自身の価値観が食い違っていたりすること(働く親に対する支援が不足しているなど)がバーンアウトの原因になりうる。

 ギャラップ社の調査によると、働き手の76%は、仕事でバーンアウトを経験したことがあると答えている。あなたがいまバーンアウトの状態にあり、それを理由に転職を考えているとしよう。その場合、新しい就職先候補の企業に、バーンアウトを助長する組織文化がはびこっていないかどうかを見極めるには、どうすればよいのだろうか。その会社は、あなたのウェルビーイングと生産性を高める後押しをしてくれそうか。それとも、あなたを疲弊させ、あなたを再度の転職活動に追い込む可能性が高そうか。

 この点については、一般に公開されている情報を参照することにより、多くのことが見えてくる。たとえば、求人広告を見れば、その会社の組織文化についてさまざまなことがわかる。求人広告に、インクルージョン(包摂)志向の言葉が含まれていたり、柔軟な働き方やリモートワークへの言及があったりするだろうか。福利厚生制度に関する記述もチェックしよう。メンタルヘルス関連の支援や、託児サービスへの補助、有給の育児休暇、介護休暇制度などが設けられているだろうか。

 求人関連のクチコミ情報サイト「グラスドア」などのオンライン上の評判は、どうなっているだろうか。そして、その会社は「理想の職場ランキング」の類いで上位にランクインしているか。また、スライブ・グローバル社と人材マネジメント協会(SHRM)が主導している「メンタルヘルス・ウェルビーイング誓約」に署名しているだろうか。こうしたことを確認するとよい。

 これらの情報源で好ましい評価を得ているとして、それは、その会社が健全な職場環境を構築すべく本気で投資している証拠と見てよいのか。それとも、それはイメージ戦略によって取り繕われた評価にすぎないのか。この点を見極めることは、時として難しい。そこで、求職者は採用面接の際に、この点を探るための問いを投げかけて、相手の反応をしっかり観察することが重要になる。

バーンアウトに関する危険なサイン

 本稿では、ある会社の組織文化について判断するために、どのようなサインに目を配り、面接でどのような問いを投げ掛け、相手の反応をどのように評価すればよいかという手引きを示したい。その会社には、社員をモノのように扱う文化があるのか、それとも、社員の全人格を尊重する人間重視の文化があるのか。この点を明らかにするためには、以下に挙げる6つの要素に着目すべきだ。この6つの要素は、マイケル P. ライターとクリスティーナ・マスラークが挙げているバーンアウトの6つの要因に対応するものである。

自律性の欠如

 いつ、どのように働くかについて選択肢があまり与えられていないと感じると、働き手はバーンアウト状態に陥りやすい。健全な企業のマネジャーは、部下が仕事をやり遂げるものと信用する。働き手の自律性に関して、その会社がどのような考え方を持っているかを判断するためには、面接で以下の問いを投げかけるとよい。

・日中、どの時間帯に働くかを、自分で決めることが許されていますか。
・どれくらいの時間働いたかは、どうやって評価していますか。
・業務の割り振りと締め切りの設定は、どのように行っていますか。
・シフト制の勤務スケジュールが変更される場合、どれくらい前の段階で通告がありますか。

注意を払うべき点:その職場のマネジャーがオープンで、柔軟性があって、部下を過度に事細かに管理しようとしない人物であると確認したい。その点、以上の問いに対して明確な回答が返ってくれば、チーム内での認識が共有されていて、働き手にしかるべき自律性が与えられている可能性が高い。

公平性の欠如

 努力しても評価してもらえなかったり、同僚と比較した場合、平等に評価されていないと感じていたりすると、働き手は疲弊したり、士気が低下したりしやすい。職場の公平性に関して、その会社がどのような考え方を持っているかを判断するためには、面接で以下の問いを投げかけるとよい。

・社員に評価を下す際、どのような指標を参照していますか。
・昇進の決定は、どのように成されていますか。
・給料決定の公平性を点検するための仕組みは設けられていますか。
・ダイバーシティ(多様性)担当の幹部がいますか。DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)担当のチームには、何人のスタッフが配属されていますか。
・ダイバーシティに関する目標の達成状況は、どのように発表していますか。
・どのような従業員リソースグループ(ERG)を支援していますか。新しい取り組みを主導したメンバーには、金銭的報酬が与えられていますか。

注意を払うべき点:その会社が職場の公平性を高めるためのプロセスを前もって設けているか、そのためにどれくらいのリソースを費やしているかを確認したい。面接担当者が自社の欠点を率直に語り、改善への意欲を示すかどうかに注目しよう。その会社がダイバーシティや公平性に関するデータを収集していなかったり、面接担当者がこれらの問いに返答することに居心地の悪さを感じているように見えたりした場合、その会社はこの問題に注意を払っていない可能性が高い。