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生成AIの登場は今後も続く変化の一部である
インターネット、スマートフォン、ソーシャルメディア、メタバース、生成AIに共通するものは何か。
答えは、これらはすべて、同じ現在進行中の「イノベーション映画」に登場している。
私たちはこの映画を以前にも見たことがある。『ワイルド・スピード』シリーズが2桁の作品を制作できるなら(最新作は10作目)、テクノロジーにも同じことができるはずだ。
なぜか忘れがちだが、現在のAI(人工知能)のハイプサイクルは初めてのものではなく、最後でもない。イノベーションはエキサイティングなものだが、同時に継続的なものでもある。
私たちがインターネットを理解し始めた時、スマートフォンが誕生した。メタバースに注目が集まると、生成AIが登場した。倫理的な問題や安全性の問題など、さまざまな問題はあるが、生成AIがいま、スマートフォンが通った道をたどっているのだとしたら、別のイノベーションがいまの生成AIと同じような道をたどることになる。これは偶然ではなく、終わりのないパターンだ。同じことが繰り返されるのである。
リーダーはこれをどう理解すればよいのか。中堅企業は、特有の観点からこの障害に直面している。中堅企業はその規模と敏捷性により、生成AIの能力を理解し、
現時点では、生成AIというディスラプションは衝撃的なものではないはずだ。中堅企業は画期的なテクノロジーと無縁ではなく、それを予期すべきである。問題は、次に何が登場するのか、それはどう機能するのか、そしてどのように使うのか、ということだけだ。
いまや、絶え間ない変化は当然起きるものと予想されており、
狭く短期的な視点を避ける
多くの企業は個々に生成AIに対応している。しかし単独であったとしてもイノベーションには、狭く短期的な視野で取り組むべきではない。
中堅企業が新しいトレンドを追い求めると、それが落ち着いた時に、過剰に肩入れしすぎてしまっていたことや、準備が不足していたことに気づく。広い視野を持たなくてはならない。
現在のイノベーションは、既存のテクノロジーの上にどのように構築されているのか、また、将来的にはどのように構築されるのか。多くの人がAIに関心を向ける中、より広く、長期的な視点を持つことで本当に必要な見方ができる。
適応力とはレジリエンスである
次の大きなディスラプションに備えるには、まずは適応力が必要だ。継続的な変化に柔軟に対応できる中堅企業は、レジリエンスが高い。
ある特定の破壊的な瞬間にすべてを結びつけるのではなく、ディスラプションに直面しても動じないよう、柔軟な組織となることが重要だ。変化のスピードは加速しており、AIの成長ペースはいまやムーアの法則を上回っている。変革やピボットの用意ができている中堅企業は、競争優位性を有しているため、ディスラプションに伴う新たな恩恵を享受することができる。
適応力とレジリエンスを結びつける中堅企業のリーダーは、この競争優位性を得るため、自分たちの組織が変化に持ちこたえることができるよう準備すべきだ。単純なことのように聞こえるかもしれないが、ビジネスの基本に立ち返ることで、こうした瞬間に大きな価値がもたらされる。
「次のチャットGPT」の登場
生成AIは、いまは革命的かもしれないが、それが時代遅れに思えるようなイノベーションが今後さらに起きる。
チャットGPTの機能を最大限に活用するために、現在のビジネスをどう修正するかを考えるべきではない。これから誕生するあらゆる「次のチャットGPT」(およびチャットGPTの新バージョン)に素早く対応できるように、いまどのように基盤を構築するかを考えるべきだ。
こうしたイノベーションは、突然現れたように思うかもしれないが、何年もかけて開発されている。未来を予測することは不可能だが(AIも試みてはいるが不可能だ)、注意を払っている中堅企業であれば、次の大きなイノベーションを予想することができる。リーダーは、イノベーションサイクルの長い歴史的背景を理解することで、この旅にはゴールがなく、繰り返される可能性が高いことを認識しなければならない。
現在のハイテク分野を見るにつけ、新しいテクノロジーが話題になるたびに既視感を覚えるのは正常な反応だ(おそらく健全な反応でもある)。長年にわたって革新的な進歩が連続して繰り返されていることを考えれば、中堅企業のリーダーは冷静さと明晰さを得ることができるだろう。
大局的な視点に立ち、適応力のある文化を構築して次のディスラプションに備えることに重点を置けば、中堅企業はどのような困難にも立ち向かうことができる。いまは大変な時代だが、私たちはこの映画を以前にも見たことがある。そして、この映画のシリーズはまだまだ終わらない。
"How Midsize Companies Can Keep Up with AI," HBR.org, May 03, 2023.






