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ミスを犯した時、いかに謝罪、文書化、記録し、ステークホルダーと共有するか
ある教科書取次会社で、疲弊した従業員が深夜に出荷の更新作業をしている。コードにミスがあり、重要な顧客に経営学の古い版の教科書を誤って発送してしまう。3日後、すでに講座は始まっている。厳しいことで知られる講座で、受講生はすでに遅れを取ったと感じている。教科書を即座に交換するよう求める声が学生の間で高まってきた。怒りの電話やメールが押し寄せるのは目に見えている。
幸いにも、この事態を修復することは可能だ。この微妙な状況に適切に対処すれば、顧客との関係をよくすることさえ可能かもしれない。いわゆる「サービス・リカバリー・パラドックス」という現象だ。
サービス・リカバリー・パラドックスとは、製品やサービスに問題が発生した場合、その問題を効果的に解決してもらった顧客は、問題が発生しなかった顧客よりも、その企業に対して好感を持つ可能性が高いというものだ。
端的にいうと、企業がサービスの欠陥を効果的に回復させられれば、顧客の満足度は欠陥が発生しなかった場合よりも高くなる。
このパラドックスを、あなたの会社はどのように活用できるだろうか。企業のどのような部門も、影響が広範囲に及ぶミスを犯す可能性はある。最終的に事態を左右するのは、謝罪のメッセージであり、謝罪のプロセスをどのように文書化し、記録し、社内外のステークホルダーと共有するかだ。
謝罪のメッセージの作り方
1. 失われた価値を回復する
顧客は、発生した問題によって「公平性」のバランスが崩れたと考える。そして、失われたと認識している「価値」を回復するために、あなたが何をするのかを知りたがっている。
顧客の関心と信頼をつなぎ留めるために、状況の修復を提案しなければならない。このステップを踏まなければ、残りのメッセージは効果がなくなってしまう。
教科書の例では、その本に関連した、学習価値を付加する別のリソースも提供することができる。ビデオやシミュレーションなど、学校や受講生が代金を払っていない教材で、学習体験を高めるものがあるはずだ。
重要なのは、顧客にとっては高い価値を持つが、会社にとっては低コストのものを提供することだ。
2. 責任を認識する
起こしたことへの言いわけをすることと、ミスの責任を認めることを区別することが肝要だ。
コードのミスの例では、サプライヤーや販売店など、他の組織に責任を押しつけると不信感を招き、謝罪は失敗に終わる。相手の最善の利益のために問題が解決されるよう、あなたが全責任を負うこと、パートナーとしての相手の信頼を回復することが目的であること、これ以上問題が起きないように先を見越した予防的な手段を講じていることを明確に示すメッセージでなくてはならない。
3. 問題を説明する
顧客は、あなたが問題とその根本原因を正確に特定できていることを確認したいと思っている。そうであれば、あなたが提案した改善策によって、同じ問題が二度と起こらないという確信が得られるからだ。
上記の例の場合、教科書取次会社は、コードは通常は機能しているものの、手作業のミスにより会社のデータベース内の古いテーブルを参照していたことを説明する必要がある。
間違いを認め、問題を解決するために(特定の問題に応じた)複数のセーフガードを構築していることを顧客に伝えると、謝罪が好意的に受け取られる可能性がはるかに高くなる。