休憩の取り方で、生産性とウェルビーイングは劇的に向上する
Art by Selman Hoşgör; malerapaso/Getty Images (hourglass); Iryna Veklich/Getty Images (clock); Westend61/Getty Images (woman on laptop); WeAre/Getty Images (woman doing yoga); Johannes Mann/Getty Images (workman); Anton Vierietin (man holding head)
サマリー:休憩を適切に取ることで、ウェルビーイングとパフォーマンスは向上する。本稿は、燃え尽き症候群(バーンアウト)やエンゲージメントの低さという問題を解決するために、仕事を中断して定期的に休憩することがなぜ重... もっと見る要か、そしてどのような休憩が効果的かを解説する。 閉じる

休憩を取ることでパフォーマンスが向上する

 多くの人にとって、生産的であることは、仕事により多くの時間を使うことを意味する。仕事に時間を費やすほど、多くを成し遂げられると直感的に思うからだろう。そして、驚くまでもなく、一般書には仕事の時間を最大化する方法についてのアドバイスがあふれている。たとえば、「CEOの日課」には、朝4時に起床し、週末も働き、さらには「トイレに行く頻度を戦略的に決める」といったことが書かれている。増え続ける仕事量に対処するため、多くの労働者はがむしゃらに働き、ランチを抜き、残業をする。

 しかし、常にオンの状態でいること、そしてそれを巧みに実現することの代償は大きい。アフラックの最近の調査によると、従業員の半数以上(59%)が燃え尽き症候群(バーンアウト)を身近に感じている。そして米国の労働者のエンゲージメントは低下している。憂慮すべきことに、高いバーンアウト率と低いエンゲージメント率の両方が、パフォーマンスの妨げにつながっている。パフォーマンスを維持しながら、ウェルビーイングの低下に対処するためにはどうすればいいのだろうか。

 仕事をし続けるのではなく、いったん中断することで、その両方を解決できるかもしれない。筆者らのチームは、2つの対立する議論に興味を引かれた。一つはパフォーマンスの指標としてより多く仕事をすることに着目したものであり、もう一つはウェルビーイングを守るために定期的に休憩することに着目したものである。どちらの場合も個々の研究結果が異なり、時に相反することに関心を持った。

 そこで、職場での休憩に関する既存の研究の系統的レビューを行った。筆者らは同僚のザフラ・プレムジ、ティモシー・ウィンゲート、コニー・デン、リサ・ベランガー、ニック・ターナーとともに80以上の研究を分析し、一日のうちに休憩を取ることがウェルビーイングを向上させ、より多くの仕事をこなせるようになることを確認した。長時間労働についての一般的な見方に反し、筆者らの研究は、勤務時間内に休憩を取ることは、パフォーマンスを低下させないどころか、高めることを示唆している。

なぜ休憩がウェルビーイングとパフォーマンスに有益なのか

 バッテリーに充電が必要なように、私たちの肉体的、心理的リソースには限りがある。バッテリーの残量が少なくなると、消耗し、疲れ果て、ストレスを感じる。

 エネルギーがほとんど残っていない状態で仕事をやり遂げようとすると、ウェルビーイングと仕事のパフォーマンスに負担をかける。極端な場合、休まず仕事をして、負のスパイラルに陥ることもある。エネルギーを消耗しているにもかかわらず、仕事を終わらせようとすると、うまくいかずミスをし、結果として仕事がさらに増え、同じタスクをこなすのに必要なリソースがさらに少なくなる。つまり、働けば働くほど生産性が低下し、疲弊してしまうのだ。たとえば、文書を読んでいて、同じ行を5回読んでもまだ頭に入ってこないということがあるだろう。それと同じような状況だ。

 幸いにも、休憩を取ることでエネルギーを充電することができ、疲労と生産性低下の負のスパイラルを避けることができる。しかし、すべての休憩に同じ効果があるわけではない。