しかし、このような投資は、大学や教会など、将来にわたって予見可能な負債を賄うために基金を必要とする機関にとっては魅力的かもしれない。投資の形態は、オランダの水道当局が発行したような永久債か、固定配当の優先株式が考えられる。通常の株式は無期限の炭素除去オフセットの資金調達には適さないだろう。こうした投資家は通常、収益性の上限が限定された(リスクが限定的な)資本を永久に確保することで確実なリターンを求めるためである。
永久債のアプローチがどのように機能するかを示す仮定の例として、カナダの先住民族が、その土地に植林して無期限に管理する原生林から得られる、相殺可能なE資産を販売したいと考えているとしよう。
そのためには、森林を開発・維持するための資金を調達しなければならない。先住民族は永久債を発行し、資本の一部を恒久的な基金に預けることができる。そして、基金からの利息を森林の管理費用に充てる。森林からのオフセットが「獲得される」、つまり樹木が成熟して炭素が吸収されると、彼らはこれらのE資産の一部を売却して、永久債の利息を含む経費を支払うことができる。
この森林の現在の樹木から、CO2換算で20メガトンのオフセットがその年に得られ、今後100年間それが続くと仮定する。しかし、1000年間のE負債を相殺するには、樹木を少なくとも10回植え替えなければならない。この取り組みのリスクを分散させるため、先住民族は今年のオフセットのうち2メガトンを、永続的に「獲得」したものとして販売することができる(20メガトンを10で割った量)。
NBOオフセットの生産者が十分に存在し、その需要も十分にある場合、これら相殺可能なオフセットは流動性のある市場で取り引きできる。これにより、森林の将来的なリスクがさまざまなオフセット購入者に分散され、先住民族は利息の支払い義務を果たすことができる。
もちろん、来年のスポット取引の購入者は今年とは異なる可能性があるし、数百年後は全く異なるだろう。だが、永久債の利息負担に貢献することで、彼らはNBOの長期的な時系列のリスクを共有することになる。相殺可能なオフセットのスポット販売と基金からの収益が、債券の利払い費と継続的な森林管理コストを上回る限り、このスキームは先住民族に利益をもたらす。
おそらく375年前、オランダの防潮堤管理の債券が3500マイル離れたニューイングランドの大学図書館に利子を支払うことになるとは誰も予想していなかっただろう。同様に、金融市場がどのように排出負債の管理ニーズに対応できるようになるかは予測できない。しかし、本稿で示した手段は、今日の炭素排出から生じる長期的な影響を緩和するための、実現可能なマーケットソリューションを示している。
"A Game Plan for Funding Carbon Offsets," HBR.org, June 13, 2023.