従業員の多様な動機を尊重する環境をつくる
情熱に価値を置く組織は、一部の従業員にとって疎外感を生む可能性があることを、マネジャーは認識する必要がある。根底にある動機にかかわらず、従業員それぞれの貢献を認め、称えることは、彼らの帰属意識と目的意識を高め、ひいてはエンゲージメントと生産性を向上させる。
マネジャーはまた、従業員が自分の動機や目標について、たとえそれが情熱を重視する倫理観とずれていたとしても、気軽に話し合えるようなオープンで包摂的な職場文化を育む努力をすべきだ。そうすることで、働く動機が異なる従業員同士の対話を促し、従業員が職場内外で情熱を探求し、発展させる機会を提供することができる。たとえば、メンターシップやネットワーキング、ジョブクラフティング(自分にとって意義のある仕事に多くの時間を費やすこと)などによって、従業員は胸を躍らせるような職務に触れることができる。
もしあなたが仕事を愛する従業員なら、そのせいで同僚に対して批判的になり、彼らへの支援の仕方に影響が及ぶ可能性があることを、心に留めておかなければならない。すべての人にとって、情熱があることが仕事をする理由である必要はない。家族の世話をしたり、セーフティネットとして福利厚生が必要だったり、仕事に対する真の情熱をまだ見出せていなかったりする従業員もいるかもしれない。
最後に、組織は、多様な動機を持つ従業員に対して福利厚生や特典が魅力的かどうかを検討すべきだ。仕事への情熱から仕事に魅力を感じる従業員もいれば、柔軟な勤務形態や能力開発の機会へのアクセスが動機となる従業員もいるだろう。さまざまな福利厚生や特典を提供することで、リーダーは多様な動機を持つ従業員に魅力的な職場をつくり、優秀な人材を維持することができる。
成功には情熱が欠かせないという考え方が一般的だが、すべての従業員は、働く動機にかかわらず、その個性と貢献度を評価されなければならない。リーダーは、従業員の多様な動機を認識し、情熱中心の枠にはまらない従業員を不当に扱うのではなく、あらゆる動機を支援し、評価する包摂的な環境をつくるべきだ。
"Research: Your Love for Work May Alienate Your Colleagues," HBR.org, June 14, 2023.