7つのステップの全体像
さて、それぞれのステップの詳細を説明する前に、ここでは人材開発・組織開発コンサルティングの7ステップの「全体像」をおおまかに概観しておきたいと思います。おおまかな地図を保ちつつ、ディテールについて学びましょう。
ステップ1. 出会う
まずはじめ、人材開発・組織開発コンサルティングは「(1) 出会う」からスタートします。コンサルタントの課題解決は、プロジェクト開始や契約書締結の遙か手前、すなわち、クライアントと「出会った」ときからはじまっています。このフェイズでは、クライアントと「いかに出会うか」について学びます。
ステップ2. 合意をつくる
第二のステップは「(2)合意をつくる」です。効果的な課題解決のためには、コンサルタントとクライアントとの間に、信頼関係(ラポール)が確立されていなければなりません。このフェイズでは、コンサルタントが、プロジェクトの冒頭で、クライアントと「いかに信頼関係を取り結び、プロジェクトのキックオフを行っていくか」を学びます。
ステップ3. データを集める
第三のステップは「(3)データを集める」です。課題解決の質は「いかに解決するか」の前に「何を課題とするか」で決まります。このフェイズで、コンサルタントは、組織内外を調べて、定性的・定量的なデータを収集・分析します。そのうえで「何を課題とするか」を決め、クライアントに提示する資料をつくります。課題解決の質は、多くの場合、コンサルタントの保有する「情報の鮮度と量」で決まります。
ステップ4. フィードバックする
第四のステップは「(4)フィードバックする」です。実際の課題解決に入る前に、コンサルタントが収集したデータを用いながら、クライアントに組織の現状を通知し、解決策を提案するフェイズです。プロジェクトの実質的なスタートの前に、必要な組織メンバーを集めて「フィードバックミーティング」を開催します。
ステップ5. 実践する
第五のステップは「(5)実践する」です。各種の人材開発・組織開発の解決手法を実施するフェイズです。組織の現状に合った施策を実施し、経営にインパクトを残すことを狙います。実際に人材開発・組織開発の施策として何をするかについても、『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』で代表的施策を紹介しています。ここでは、それらの解決策を実践するときに特に留意したいポイントを学びます。
ステップ6. 評価する
アクションを実施した後、第六のステップは「(6)評価する」です。実践をやりっぱなしにしていては、実践の持続可能性と質の向上は目指せません。今回の取り組みの意義を経営に説明するべく、実践のインパクトを定量的・定性的に把握します。
ステップ7. 別れる
そして、人材開発・組織開発の最終ステップは「(7) 別れる」です。コンサルタントとクライアントは、いつか必ず「別れる運命」にあります。あなたが外部コンサルタントならば、担当者の入れ替わりや、予算の切れ目が「縁の切れ目」になることが多いでしょう。あなたが内部コンサルタントならば、あなたの支援を必要としている現場が、他に生まれるかもしれません。また、あなたがいわゆる日本型雇用の特徴を有する会社に勤務なさっているのだとしたら、あなた自身にジョブローテーションがありうるかと思います。あなたがどんなに熱心に助言・伴走したクライアントを有していたとしても、あなた自身は、いつまでも、クライアントと「一心同体」ではいられません。
コンサルタントとクライアントは、いつかは「別れなければならない運命」を背負っています。ゆえに、人材開発・組織開発のコンサルタントにとって、最も重要なことは、クライアントが独り立ちして、自ら独力で、実践・実務を遂行できる環境をつくっていくことです。そのためには、コンサルタントはクライアントと「適切に別れなければ」なりません。たいていの場合、コンサルタントは、クライアントを育てたり、制度づくりを支援したり、マニュアルをつくったりするなどして、コンサルタントなしでも、クライアントが独り立ちできる環境をつくります。このフェイズでは、「出会い方」と対になる「別れ方」について学びます。
以上が、人材開発・組織開発コンサルティングの7ステップの概要になります。それぞれの詳細は、『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』で紹介しています。続きはぜひ、本書をご覧ください。
人材開発・組織開発コンサルティング:人と組織の「課題解決」入門
[著者]中原 淳
[内容紹介]
人と組織の課題解決のための7つのステップを徹底解説!
■メンバーとの信頼をいかに築くのか
■現場のデータ収集・分析のコツとは
■理想的な対話と決断の場をつくるには
■現場実践の促進と評価のポイントとは
企業の人事・教育担当者から社外コンサルタントまで必読。
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