下位セグメントへのサービス提供能力を評価する

 ニーズベースのセグメンテーションを実施したら、4つのレベルそれぞれに関する以下の質問に答えよう。その結果によって、営業・マーケティング戦略、投資レベル、資源配分が決定する。

レベル1. 緊急のニーズ

 どれだけ早くニーズに応えられるか。どうすれば最善のサービスを提供できるか。市場機会は、現在の見込み客に焦点を絞るだけで十分なくらい大きいか。顧客の緊急性を考慮した上で、搾取しているという印象を与えて関係を損なうことなく、利幅を最適化するために、どのように製品の価格を設定するか。

レベル2. 非緊急のニーズ

 そのニーズはいま考えているよりも緊急性が高いと、見込み客を納得させることができるか。緊急性が高まったと相手が認識した時に、自社のサービスを常に最初に思い出してもらうためには、どのようにして効果的につながりを維持するか。

レベル3. 現在満たされているニーズ

 このような見込み客からは手を引くべきか。もしそうなら、見込み客のニーズの変化を確認するために、いつ、どのように連絡を取ればよいのか。あるいは、引き続き努力することで、ニーズは見込み客が思っている以上に切迫している、あるいはさらにうまく対処する方法があると見込み客を納得させるチャンスはあるか。もしそのようなチャンスがあるならば、現状を再考してもらい、真のニーズとその緊急性を認識してもらうには、どのようなアプローチが最善か。

レベル4. ニーズなし

 これらの企業を見込み客リストから完全に排除すべきか。ほかの商品で対応できる可能性のあるニーズはないか。相手の状況に変化がないかを確認するために、計画的にコンタクトを取るべきか。そのための最善の方法は何か。

 理想的な顧客は、あなたが提供する商品に対して緊急のニーズがあることを明確に理解し、認識している。しかし、その数が会社の販売数量目標を達成するのに十分でない場合は、レベル1以外の顧客に対しても働きかける必要があるかもしれない。このように追加的なターゲット顧客の関心を引き、現在のニーズ以上に意欲をかき立てて、あなたの提案がどのような利益をもたらすかを知ってもらうためには、リソースが必要になる。したがって、ほかのレベルの顧客に対応するのに必要な投資を上回る機会があるかどうかを判断するためには、的確な評価を行わなければならない。

新しいターゲットをテストする

 営業担当者が機会の優先順位を全面的に見直す前に、新しいターゲット顧客のパラメータをテストするため、経験豊富な営業担当者を1~2人選ぼう。刷新したターゲットプロファイルに合致する見込み客を数社特定し、選出した営業担当者がその見込み客にどこまで深くアプローチできるかを確認する。

セールスメッセージとトレーニングを改良する

 見込み客のニーズのレベルをセールスメッセージ(営業チームが顧客と接する際に使用する言葉)に反映させよう。販売ツール(販売プロセスで使用するパンフレット、技術的な文書、顧客の声などの資料)を見直し、ニーズの緊急性を盛り込む。そして、営業担当者には、見込み客のニーズのレベルを読み取り、それに対応し、適切に言葉を使用する方法を教える。

 ターゲット顧客のプロファイルにニーズの緊急性を加えることで、企業は自社製品をより効果的に差別化できる。加えて、新たな成長機会を見出し、市場の減速や逼迫からうまく脱却できる。新商品の販売を加速させることも可能だ。さらには、成績不振の営業チームを強力なパフォーマーに変えることもできるだろう。


"Let the Urgency of Your Customers' Needs Guide Your Sales Strategy," HBR.org, July 06, 2023.