無関心型退屈:よりポジティブなタイプ。リラックスしているように感じたり、陽気な疲労感を覚えたりする時もあり、外界に対する全般的な無関心(および外界から離れること)を反映している。このタイプの退屈は、特に多忙な日々において、休息と回復を促進するのに役立つ。
調整型退屈:やや不快で、最も一般的なタイプの一つ。仕事や活動に没頭していない時に、心が漂い始める。思考がさまよい、状況を変えるために何をしたらよいかわからず、しかしその状況から何とか抜け出したいと思っている。
探索的退屈:このタイプは、ネガティブな経験を和らげるために、ほかの活動や余暇の追求、興味、趣味などを通じて、代替行動や気晴らしをたえず積極的に探している。不快ではあるが、このタイプの退屈は活動や変化の追求を触発して、創造性、革新性、個人の成長などプラスの結果をもたらすことが多い。
反応型退屈:このタイプは、反復的な仕事やつまらない仕事を要求される状況で生じる。逃げ場のない非効率的な会議に長時間、拘束されるなどが該当する。行動志向型で不快感が強い退屈であり、落ち着きのなさやいら立ちを招き、他人や退屈な体験に対して、より怒りっぽく、攻撃的になるかもしれない。この退屈を経験している人は、常にほかの選択肢について想像しながら、早く変化を起こしたい、逃げ出したいと感じるかもしれない。
無気力型退屈:このタイプは、通常なら刺激的で楽しいと感じる活動や出来事に対する無関心、意欲の欠如、感情のマヒなどに関連している。無気力な退屈は、必ずしもいら立ちや落ち着きのなさを伴うわけではなく、むしろ、やる気がない、無関心だという感覚である。慢性的なストレス、鬱などのメンタルヘルスの問題の結果として起こる時もあり、絶望感や無力感につながる。無気力な退屈を経験している人は、本当の目的や楽しみがないまま、人生をやり過ごしているように感じるかもしれない。
3. 何をするかを決める。退屈のタイプと、それがあなた自身やあなたの状況について何を語っているのかをもとに、それに対して何をするかを決める。
あなたの退屈は、仕事が厳しかった後に、リラックスしてくつろぐためかもしれない。あるいは、自分の役割について何かを教えてくれているのかもしれない。どのような役割にも、単調な仕事やイライラする仕事、純粋に退屈な仕事がある。「よいもの」を得るために、こうした仕事をやらなければならない時もある。
退屈が続くなら、その退屈を利用して変化を起こしてみよう。仕事において、自分が本当に楽しめる役割の要素を引き出すような工夫をするのだ。たとえば、仕事の種類や多様性、複雑性、重要性を変えてみる。新しいアイデアを探す、思い描く、誰かのアイデアを支持するなど、意図的に退屈を回避することもできる。内省やノスタルジーに浸ることで、退屈な時に感じやすい無意味さを打ち消すことができるかもしれない。
4. マインドフルな退屈感を育てる。退屈なひと時は、目まぐるしい「つながっている」世界から解き放たれて、いまこの瞬間に身を置く機会にもなる。深く考えずに注意散漫になるのではなく、たとえば、一息ついたり、刺激を感じるような活動をしたり、不快感が過ぎ去るのを意識して待つなど、ポジティブな意図を持って退屈している時間を使う。
退屈は創造性をかき立てることもできるため、仕事のルーチンのなかで構造化されていない時間として、退屈する余裕をつくるのもよい。たとえば、革新性を求められている時に、その時間を使って新しいアイデアを思いついたり、ベストを尽くす準備をしたりする。
* * *
退屈は不快な感覚かもしれないが、自分の興味や価値観、目標を振り返る機会にもなる。自分が経験している退屈のタイプを理解し、根本的な原因を見極めることによって、対処する手段を講じたり、周囲の世界と関わる新しい方法を見つけたりすることができる。また、退屈とうまく付き合うことで、創造性やレジリエンス、新しい状況への適応力を養うこともできる。
退屈を避けたり無視したりするのではなく、自己成長の貴重なツールとして、また、より充実した人生を送るための方法として、退屈とうまく付き合っていくことを考えよう。
"The Benefits of Being Bored at Work," HBR.org, July 04, 2023.