言いわけばかりする部下のマネジメント法
Olena Koliesnik/Getty Images
サマリー:失敗して言いわけばかりする従業員を、どうマネジメントすればよいか。従業員が失敗する主な要因は、認識、能力、モチベーションが不足していることにある。マネジャーは、コミュニケーション、トレーニング、メンタ... もっと見るリング、目標設定、報酬の見直しなどを通じて、これらの要因に対処しなければならない。 閉じる

従業員が失敗してしまう3つの要因

 結果が振るわず、言いわけばかりする従業員をどうマネジメントするか。腹を立てるのは正しい解決策ではない。また、マイクロマネジメントはあなたの仕事量を増やすうえ、責任を負うのはあなたとなり、従業員の責任ではないと告げることと同義である。では、成果を出してほしい従業員を信用できない場合、マネジャーであるあなたにはどのような選択肢があるのだろうか。

 その人ではなく、プロセスを信用する対象にするとよい。

 従業員が失敗する理由を考えてみよう。その理由がヒントになり、より強固なプロセスを採用して言いわけを排除することができる。

 まず、従業員が何を期待されているのか、よい仕事をするためには何が必要なのかを理解していない可能性がある。認識が同じかどうかの問題である。次に、タスクを達成するための知識やスキルが不足しているのかもしれない。つまり、能力の問題だ。最後に、仕事を成し遂げる、あるいは最初の一歩を踏み出すモチベーションが不足している可能性がある。従業員がやるべきことを理解し、その方法を知り、それを実行したいと思わなければ、成功しない。

 従業員が失敗を繰り返すなら、基礎となる3つの柱のうち1つかそれ以上が欠けていることになる。マネジャーの仕事は、従業員の認識、能力、モチベーションを強化するために、パフォーマンスの基盤となるプロセスを構築することだ。このプロセスは、タスクを割り当てられた瞬間から達成する瞬間まで、従業員をサポートするものでなければならない。また、従業員の言いわけを否定するものであるべきだ。しかし、当然ながらどのようなサポートが必要かは、その人の具体的な欠点によって異なる。

目的を明確にする

 従業員があなたを失望させる原因の1つは、仕事に取り組むとはどういうことかを理解していないことだ。マネジャーはスピードを重視して、何を期待しているかについての認識のすり合わせを事前に十分行わないことがよくある。これは、マネジャーにとってマイナスになる。とりわけ、信頼性に欠ける従業員を部下に抱えている場合はそうなりやすい。事前の認識合わせに投資することで、よいパフォーマンスを促し、パフォーマンスの低下に対処する枠組みもつくれる。

 仕事のパーパスに焦点を当てることから始めよう。目的を明確にすることで、視点や動機、最終目標から外れても、言いわけする余地がほとんどなくなる。また、その人が戦略的でなく、全体像が見えていなかったり、利己的でチームの成功より自分の成功を優先しがちだったりする場合にも、パーパスから着手するのが効果的だ。何を達成しようとしているのかを明確にすること。また、その仕事は誰のためなのか、それによって利益を得る人は成功をどう定義するのか。仕事は他の取り組みとどのように関連しているのか。これらを明らかにすることで、相手があなたの望みを知らなかったと主張する機会を減らすことができる。

 仕事のパーパスが相互に一致すれば、良い結果、悪い結果、受け入れられない結果がどのようなものかを示すことができる。

 ただ残念なことに、これもマネジャーが省いてしまいがちなステップだ。筆者はこれを「バレンタインデー効果」と呼んでいる。自分の望みを明確にしていないのに、相手がそれを実行してくれなかった時に失望することを指す。不信感を抱いている従業員に対しては、期待を明確にしなければ、ほぼ間違いなく失望することになる。仕事に対する評価基準を示すために、最低基準を説明すべきだ。何を大成功と見なすか、どのような結果は懸念すべきか、あるいは失敗と見なされるのか。これらを明らかにすることで、従業員が不十分な仕事を「十分」なものとして済ませてしまう可能性を取り除くことができる。

 目標を明確にすれば、認識が違ったという言いわけを排除することができる。