部下が多すぎて限界を感じたら、どうすべきか
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サマリー:部下の人数が多すぎると、ストレスを感じて、その数を減らしてもらいたくなるかもしれない。しかし、大人数の部下を効果的にマネジメントする方法がある。それは、部下の誰もが主体性を持って仕事に取り組める環境を... もっと見るつくることだ。本稿では、メンバーが主体性と自律性を持って仕事ができるように促すための原則を6つ紹介する。 閉じる

すべての部下が主体性を持つためのマネジメント

 大所帯のチームをマネジメントしていると、部下の指導よりも取りまとめに時間を費やしているように感じることも多いだろう。個人に気を配り、全員に責任を果たすよう促すのは、不確定な要素が多い状況では特に難しい。

 では、より効果的にマネジメントができるシステムやプロセスは、どのようにすれば取り入れられるのだろうか。全員がサポートされていると感じられるようにするには、どうすればよいのか。そして、あなたがその場にいなくても、誰もが主体性を持って仕事に取り組める環境をつくるにはどうすればよいのだろうか。

専門家の意見

 はっきりさせておきたいのは、直属の部下の人数について、すべての人に適した数字はないということだ。それは仕事の内容、チームのメンバー、あなたのキャリアステージによって異なる。

 やっかいなのは、自分の能力が限界に達していることを見極めるのが難しい点だ。アラバマ大学カルバーハウス・カレッジ・オブ・ビジネスの教授であるビシャール・グプタは、どのようなリーダーにも部下の人数が手に負えなくなる「限界点」があると指摘する。「多くのことに振り回され、何かを見逃すのではないか常に不安になる」とグプタは言う。

 アーンスト・アンド・ヤングのピープル・アドバイザリー・サービス部門のプリンシパルで、Strategies for Organizational Design(未訳)の著者であるティファニー・マクドウェルによると、これは比較的よくある問題だという。「多くの場合、マネジャーはチームを引き継ぎ、その状態で何とかするよう求められる」と彼女は言う。

 しかし、大きなチームを率いることは困難な一方で、プラスの面もある。「さまざまな部下がいる場合、マイクロマネジメントをしたり、細かな点に目を向けたりすることはできない」。それよりも、「真のピープルマネジャー」となってチームメンバーを信頼し、主体性と自律性を与えられるようになるべきだ。主体性と自律性こそが「エンゲージメントと生産性を促す強力なドライバー」であるとマクドウェルは言う。以下では、その方法を解説する。

意思決定を委任する

 大規模なチームを管理する際の最大の課題の一つは、必要な意思決定やトレードオフの数に対処し続けることだとグプタは言う。自分一人ですべてを処理しようとすると、すべてのスピードが遅くなり、ボトルネックになりかねない。そのため「チームメンバーにできるだけ意思決定の自律性を与える」必要があるとマクドウェルは述べる。

 重要なのは、大きなリスクを伴う決断は自分で行い、それ以外は委任することだという。チームメンバーを指導し、助言を与えることは必要だが、メンバーに自分で決断する自由を与えることは、メンバーの生産性を高めるだけでなく、新しいスキルの向上にも役立つ。そしてあなた自身は、日常的な問題に囚われることなく、大局的でハイレベルな戦略に集中できるようになる。それはリーダーとして「最も自由になれる行為の一つ」だ。