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組織の壁を越えて人脈を築く人のマインドセット
この数年間で、組織における思考の多様性が増したか減ったかを企業の幹部たちに尋ねると、答えは一致している。ほぼ全員が何らかの形で、職場における態度、視点や価値観の多様化を目にしているのだ。これは朗報である。多様性は、組織のイノベーション、創造性、生産性を促進しうることが数十年にわたる研究で示されているからだ。
だが、同じ幹部らに、組織内で自分の仕事上の人脈はより多様になったかを尋ねると、反応はあまり明確ではない。「いいえ」と「わからない」が入り混じった芳しくない答えが返ってくる。
これは驚きではない。人間に最もありがちな傾向の一つは同類性、つまり似た者同士が集まろうとすることだ。たとえ職場環境の多様性が高まっていても、自分と似た考えの持ち主と一緒にいたがるのが人間の傾向であり、同質的なエコーチェンバーに囚われたまま、新しいアイデアや機会へのアクセスと接触が限られてしまうのだ。
とはいえ、この自然な傾向に逆らい、派閥や縦割りの壁を横断して人脈を築き、社会と仕事の複雑性が高まる中で活躍する人たちがいることは誰もが知っている。
このような人はバウンダリースパナー(境界連結者)とも呼ばれ、自分のコンフォートゾーン(安心できる領域)の外に出て自分にはない新しいアイデアや視点を積極的に探索することによって、組織内の縦割りの壁を打破し、実質的に橋渡し役を果たす。孤立していては得られない豊かさが、多様性によってもたらされることを、彼らは理解している。
多様な人脈の構築について、このような人々から何を学べるだろうか。筆者らの研究によれば、彼らがほかの人々と異なるのは、何らかの生来の特性や能力ではない。考え方が異なる相手と関係を築くために必要なのは、複雑なことではないという信念である。具体的に言えば、個人間の価値観や意見の違いを乗り越えるための成長マインドセットを彼らは持っているのだ。