会議を効率化するデータ活用の5つのポイント
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サマリー:会議の非効率性は、生産性と従業員エンゲージメントに悪影響を及ぼすと考えられている。しかし、コロナ禍以降にバーチャル会議が増えたことにより生み出されたデータは、会議文化の改善に有効に活用できる可能性があ... もっと見るる。そこで本稿では、最近の分析から得られた重要な知見と、企業が実際にデータを活用して会議を改善してきた事例を紹介する。 閉じる

会議の非効率性をデータによって改善する

 ナレッジワーカーは日頃、驚くほど膨大な数の会議に出席しているが、その多くは時間を有効に使えていない。マイクロソフトが行った最近の調査によれば、非効率的な会議が生産性を阻害する最大の要因であり、従業員の68%が勤務時間中に集中できる時間を十分に確保できていないと回答している。さらにある調査によると、会議の3分の1が不要である可能性が高いという。この問題は生産性とエンゲージメントに悪影響を及ぼし、そのコストは数千億ドルに上ると推定されている。

 会議の非効率性は、コロナ禍以前から問題になっていたが、バーチャルコラボレーションへの突然の転換による問題の悪化は驚くことではない。しかし、この転換には有益な副次的効果もあった。バーチャル会議が生み出すデータである。今日の規模であれば、そのデータは生産性、エンゲージメント、さらには従業員のリテンションに至るまで、有意義な分析の材料として、さまざまな方法で有効活用できる。会議文化の改善を目指す企業にとって、コラボレーションデータは、まだほとんど活用されていない貴重なリソースなのだ。

 筆者らが所属する、企業におけるコラボレーションのモニタリングおよび分析プラットフォームを展開するバイオプタ(Vyopta)では、クライアント企業が会議データの価値に気づけるよう、直接的な支援を行っている。また日常的に、大規模なデータセットを使って、世界的なコラボレーション指標の分析、ベンチマークの確立、重要なトレンドの把握を行っている。本稿では、最近の分析から得られた重要な知見と、企業が実際にデータを活用して会議を改善してきた事例を紹介する。

今日の会議の姿

 この分析では、企業11社、従業員45万人以上(プライバシーのために匿名化されている)の会議4000万件以上を評価した。比較のため、2022年第1四半期と2023年第1四半期の2回、6週間のスナップショットでデータを収集した。どちらもサンプル後、十分な時間を置いてリテンションを測定した。データは、マイクロソフトのチームズ、シスコシステムズのウェベックス、ズームなどのオンラインプラットフォームを使って実施されたリモートまたはハイブリッド会議から取得した。完全対面の会議は対象にしていない。簡潔化するため、ここではこれらのリモート、ハイブリッド会議を略して「会議」と呼ぶことにする。