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マーケティングは一方向や双方向のコミュニケーションではない
今日、企業は新しいタイプのコミュニケーション環境を乗り切らなければならない。すなわち「エコーバース」(echoverse)である。この新しい状況は、消費者とブランド、ニュースメディア、投資家、コミュニティ、社会、AIエージェントがつくり出す、フィードバックループと反響の複雑な絡み合いによって規定される。このアクターの集合体は、無数のデジタルチャネルやプラットフォーム、デバイスをまたいでたえず相互作用し、影響し合い、反応し合う。その継続的な相互作用によって、メッセージが増幅されたり、修正されたり、弱められたりしながら循環し、反響する動的な状況が生み出されている。
エコーバースにはほかにも、以下のような際立った特徴がいくつかある。
・コミュニケーションが全方向的である。メッセージはあらゆる方向に流れ、あらゆるポイントから発生し、複合的な相互作用を通して共鳴し、さまざまなアクターによって送られ、受け取られ、つくり変えられる。
・役割が曖昧である。従来のメッセージの送り手と受け手という役割は、ますます曖昧になっている。どのアクターでも会話を開始して、メッセージを修正したり、反論したり、強化したりすることができる。すべての参加者(アクター)がコンテンツのクリエイターにして消費者でもあり、ほかのアクターを動かし、変化させ、影響を与える。
・メッセージが常に進化している。メッセージは、フィードバックループと、コミュニケーションに動的に参加するアクターによって、つくり出される。それはたえず、同時的に変化している。
・価値創造が集団的である。意味は単一の送り手ではなく、人間と非人間のアクターの集合体によって構築される。意味はすべての参加者の相互作用によって共同で創造され、また所有され、それぞれのアクターが自身の文脈、解釈、リソース、将来の貢献を追加していく。